『股関節が鳴るんです』こう話す方がいます。
実際にカラダが鳴る訳ではないのですが、脚を動かすと股関節でコキっと音がなったように感じることがあります。何故、こんな音が出るのでしょうか。
骨盤の構造から診て股関節自体が鳴るのではありません。
股関節は一番大きな関節で脚が抜けないように、靭帯、腱でしっかり骨盤と結びついています。
この音は、骨が鳴るのではなく、股関節周囲の組織(靭帯や腱、関節胞)に荷重がかかった結果、音が鳴るように感じるのです。
同様の音は、肩関節や足首などでも聞こえたりする場合もあります。
股関節が悪いのではないかとレントゲンととっても何もない。
結果、痛みが出てくるまでほっておくケースも少なくありません。
可動域が高くカラダの柔らかいダンサーの場合、脚を動かせる範囲が広いため、関節の接合面の限界ぎりぎりにまで動かせてしまう場合が少なくありません。
この時に大腿四頭筋の腱が他の筋肉の腱とぶつかってしまうことがあります。音が聞こえるのは、こういう時です。
ただ、これを繰り返していると、股関節の接合面への負荷を受けるため骨棘ができてしまう場合があります。
そうなると、それほど動かしているつもりでなくても、骨棘に当って痛みが消えないことになってしまいます。
ジュニアの場合は、未だカラダが完成されておらず、上半身のスクエアが安定していないケースが多々あります。この時期に脚だけで踊るクセをつけてしまうと、大腿四頭筋の筋肉が発達してまいます。
太くなった筋肉を支えるために、腱には余分な負担がかかる。
特に脚をあげる時、『一回鳴らしてからあげちゃうんです』のようなクセがつくと、腱に炎症が出てくる場合があります。
大人バレエの場合、ほとんどの人が太ももの筋肉・大腿四頭筋が硬くなっています。
そのため、ジュニア以上に腱には負荷がかかっているのです。
年齢、体型、カラダの柔軟性にもよりますが、音が聞こえるのは、柔軟性があるタイプに多く診られますが、硬くなった腱が摩擦で鳴るように聞こえる場合もあります。
いずれのケースでも、音が聞こえるように感じるのは、骨ではなく、股関節に負荷がかかっている証拠。
鳴るだけでなく股関節に炎症が出てしまったらまず、炎症を取り除くこと。
そして、最も大切なのは、股関節だけでなく、全身のコーディネーションでアンドゥオールすることを見直すことです。
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【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
日本バレエワークアウト協会理事
芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange