・骨がどうにかなっちゃったの?
・痛い時と痛くない時があったりするのってどうしてなの?
・このままずっとポワントで立てないの?
こんな風に不安になったりしますね。
一つひとつ診ていきましょう。
バレエシューズと違って、ポワントをはくと足の自由が利き難くなります。
本来ポワントは足部やシューズそのもので立つものではありませんが、レッスン量やリハーサル量が多かったりすれば、その分足部にも負担はかかります。
甲の部分は、筋肉が薄いため、人によっては骨が痛いのかと勘違いするケースが少なくありません。
もちろん骨折というケースもありますが、その場合は歩く時にも痛いはず。
バレエの甲の痛みは、ほとんどのケースで甲の軟部組織(筋肉・筋膜・靱帯・腱など)に傷ができたため感じる痛みです。
甲に痛みを生じやすいのは、足ゆびの力が強いタイプが少なくありません。
子供の頃、ポワントで直ぐたててしまったタイプ。そして足が強いので、ジャンプが得意なタイプ。
骨折だと復帰には2~3ヶ月かかりますが、炎症による痛みの場合、適切な治療を終えれば、ポワントで踊れるようになります。
では、ここで、甲の構造から診ていきましょう。
皮膚の下に、血管やリンパ管が走っています。
そして、足のゆびさきに届く筋肉のスジが走っています。
そしてそれぞれの骨の間にも細くて細かい筋肉があります。
筋肉は筋膜に包まれていて、靱帯や腱で骨に固定されています。
その下が骨なのです。
足のゆびが強いタイプは、この甲を走っている筋肉・腱の力が強い。
つま先を伸ばそうとゆびの力でぐいっと引っ張ってばかりいると筋肉や腱の組織に大きな負担をかけて踊っていることになるのです。
ケガになりやすいきっかけとは
・足先に大きな負担をかけ続ける
↓
・踊る量が増えて、カラダのコンディションが崩れてくる
+
・疲れや体調不良、年齢などによる筋肉の衰えが出始める
↓
カラダのコントロールが利かなくなった瞬間にケガにつながる
骨折の場合、痛覚が常に刺激されることになるので、ほとんどが常に痛みを抱えることになります。足の骨はとても小さいので、鋭い痛みというより違和感だったり、ツンとする感じ、重い感じだったりします。
筋肉・腱や靱帯などの軟部組織に傷がある時も痛覚が刺激されますが、手に傷をつくった後と似たように痛かったりそうでなかったりします。
ほとんどのケースで痛みがマックスの時は、上半身のスクエアが崩れて、引き上げが足りていない時です。
特にポワントからアテールに下りてくる時のアプロンが足りていないと、足部には何倍もの体重がかかりやすくなります。そのために、傷のある部分が刺激されて思わぬ痛みを感じるのです。
ポイントは、どこかに痛みがある時は、カラダの捻れがあるということ。
捻れがあるため、引き上げが足りずカラダのパーツに負担がかかり、それが痛みになっているのです。
傷ができてしまっているとその痛みをほっておくと、他の部位への負担が増えます。
よくあるのは、膝が痛くてかばっていたら腰が痛くなった、はこの典型例です。
治療について言うと甲の痛みは、灸と鍼で炎症を抑えることが第一になります。
更に、甲に走っているスネの筋肉を緩めること、又、骨盤周囲筋の筋肉の緊張があれば、そこも緩めることが大切です。
甲の炎症を抑えただけだと、最終的には又直ぐ痛くなるケースが少なくないからです。
後大切なのは、セルフケア、足ゆびをほぐす、スネから以下の筋肉を緩める、そしてきちんと使えるつま先をつくるエクササイズも欠かせません。
甲の痛みがある時は、先ず足部のくるぶし以下はアイシングしておきましょう。そして適切な治療を受けることが大切です。
甲の痛みの治療については、こちらをご覧ください。
>>>電話:090-9362-0080
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
日本バレエワークアウト協会理事
芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange