・脚の筋肉はしっかりしているのに、上半身や腕の筋肉がやわくなっている
・このところ、足首、膝、股関節などにだるさを感じやすくなった
・右のグランパデシャは180度開くのに、左は開かなくなっている
・以前より柔軟性が減ったのか、背中の反りがきつくなっている気がする
ダンサーやバレエ・ダンス教師でも、40歳を越えて以降、このような状態が気になっている方は少なくありません。
特に、教えが中心で、自分のレッスンが減っている方、出産あとしばらく休んで、その後踊りだした方、20代30代でのケガの後、特にメンテナンスせずに踊ってきた方。
昔とは何かが違っていると感じる力は鋭いけれど、柔軟性も可動域もあるので、コーディネーション力でカバーして踊れてしまう。
けれど、その裏で気づかぬうちにカラダのバランスに歪みが生じている場合が少なくありません。
なんでこんなことを紹介するのか?というと、ある一定の年齢の方によく診られる状態だからなのです。
女性は、特に40代50代とホルモンバランスの変化に否応なく揺さぶられます。
何十年もの積み重ねの後、40代後半、50代になって関節に大きな変調を来すことが少なくないのです。
踊ることは人生であり喜びでもあり、それが仕事だとどうしても止められない事情があります。
けれどカラダ自体は、DNAのプログラミングからは逃れられない。
以前と同じようにここまでは動けたはずと、カラダを過信して踊ってきてしまった結果、カラダは自身を守るために不思議な変化をもたらしてしまいます。
それが股関節や膝関節にできる膿胞です。
そうなると、動かす度に痛みを感じたり、場合によっては以前のように開けなくなり、極端に可動域が狭まってしまうことも起きてしまいます。
それでも、痛みが少ない場合、気づかずにカバーして踊り続けてしまうと、骨変性や関節の変形がおきてしまう場合もあります。
気をつけてほしいのはこれです。
左右差を感じているタイプ
それは、股関節だけでなく、膝関節、足関節も含みます。
人のカラダは左右対称ではありませんが、バレエのテクニックを習得していく課程でその左右差をすこしずつ減していくようにレッスンする訳です。
けれど、カラダ自体は変化している。その中で、左右差が以前より気になっている人は、コーディネーションを筋肉の力に頼っているタイプが多いです。
このようなケースでは、仰向けになった状態で、足部と膝関節の向きが左右違っています。
歪みを整えるには、先ずカラダの真ん中にある脊柱に軸が集まるように調整していく必要があります。
が、開かなければ、つま先を伸ばさなければと言う長年の習慣が邪魔をして外へ外へと開くのではなく流れていこうとする状態が多く診られるため、本来のアンドゥオールである、軸を中心に外へ回旋されていくラインに戻していきます。(バレエ整体)
ケースによっては、骨盤周囲や大腿部に伸びにくい筋硬結があることも少なくありません。
骨盤と大腿部はアンドゥオールのために分離して動かなくてはいけないのに、臀部や大腿部の筋肉が硬いため阻害されてしまっているのです。
このようなケースは、バレエ鍼灸で筋性防御に近い筋硬結を緩めていきます。
いずれも最終的に必要なことは、骨の感覚を取り戻すことです。アンドゥオールするにはこの筋肉、あそこはこっちへ動かしたい、と筋肉ベースで考えてしまうと、支える感覚が弱まってしまいます。支えられている安定している感覚は、一番楽に立てる場所。
自分でも気づかないわずかな歪みも、そとから診るフィードバックがあれば早く修正されていきます。そのお手伝いをするのが、バレエ整体でありバレエ鍼灸です。
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
日本バレエワークアウト協会理事
芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange