『35年前、日本に初めてやってきました。15歳のときでした。オペラ座のバレエ団の子供たちの1人でした。いろいろな所に行き、目を見開いて、興奮した状態で東京の街を歩きました。後で気がついたのは、大きな冒険の始まりだったということです。
国際的キャリアの始まりでした。大人になろうとしていたときで、異なるものを見ること、異なった見方をすることを学んだのです。同時に別のパラダイム(考え方)が存在することも習ったのです。
世界文化賞を受賞すると聞いたとき、とても幸福に思いました。感銘を受けました。幸せだったのは、日本との出合い、文化的な衝撃が多くをもたらしてくれたからです。35年前から愛している国で受賞できることをうれしく思います』 2015年世界文化賞受賞に際しての、シルビー・ギエムのインタビューより
子供の頃の体験は、成長した後々に大きな影響をもたらします。だからこそ、10代のジュニアにはいろんなことにチャレンジして欲しい。バレエがうまくなりたいのは、誰も同じだけれど、毎日レッスンばかりの日々だと、自分が次に踊るヴァリエーションがどんな作品の一部なのかも分からずに踊ってしまうこともあるのです。
コンクール直前にヴァリエーションをみていた時『ニキヤじゃないから・・・』とフト漏らしたMちゃん。まだまだ13歳のジュニアです。
その年齢で考えるとガムザッティーだってちょっと早いかと思えなくもないのです。何故そう思っているのかを聞いてみると『主役じゃあないから・・・』
そうか。。。コンクールで踊られるヴァリエーションはたいてい主役が踊るものが多いのですからね。他の子が主役の踊りなのに、自分は・・・と感じたのでしょう。
『この作品ではね、ニキヤは確かに主役だけれど巫女で、舞台設定では身分は決して高くないのよ。でもガムザッティーは、ラジャの娘でいわば”お姫”さまなの。
だから、衣装やティアラもとってもゴージャスなのよ』と作品と役柄の解説を聞いて初めて、この踊りの意味に気づき始めた感じがありました。
良い悪いは別にして、10歳前後のジュニアからコンクールでヴァリエーションを踊るのが最近の傾向。けれど、バレエはヴァリエーションだけで出来ているんではないのです。
もし、多くのジュニアがそれだけしか知らないで育っていってしまったら、折角カンパニーに入れたとしてどうなっていくのだろうか、と思います。
動画検索すれば、簡単にヴァリエーションだけ見ることが出来る便利な時代。
けれど、それは単なる切り取ったワンシーン。本来は、三幕・もしくは五幕ものの作品の一部。それを理解して踊ったとしても別に意味がないように思えて、審査する先生の目には違って見えることが少ないのは、先生方が舞台を経験しているからなんです。
その意味でも、ジュニア時代から全幕物の舞台を実際自分の目で観る経験は確実に重要。実際に観てみると、フォーションの大切さなども具体的に分かって、先生の注意が頭にはいってきやすくなるはず。百聞は一見にしかず。
実際に踊ることだけでなく、様々な体験が躍る心とカラダをはぐくんでくれる、それが舞台の踊りに厚みをもたらしてくれるのです。
【院長プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
○毎月一回フロアバレエクラス開催中
カラダが引き上がって脚が軽くなっていきます。一緒に踊ってみましょう~
○トレーニングメニュー【ターンアウトアップ】と【バレエの解剖学】から開脚の本ができました。
『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○踊りやすい、動きやすいカラダについて解剖学の外部講師活動もおこなっています。(活動レポート)