床から脚を離さず伸ばしていくバットマンが、アンシェヌマンの段階を経て、空間に脚が高い伸びてく、これがグランバットマン、キックと言う技。
この脚を高くあげるステップのコツは、
高くあげてもぐらつかない体幹
なんですが、どうしても意識はあげる脚にいきがちになります。
ハムストリングスが過剰に伸ばされ続けると、腱を痛めてしまいます。
それはハムストリングスの性質が関わっているのです。
前の大腿四頭筋屋殿筋よりもコラーゲン線維が多いからなんです。
このハムストリングスを痛めるきっかけ、大別すると2つあります。
・1つは、開脚で伸ばしすぎる
・2つめが、このグランバットマン、キック
です。
もともとハムストリングスはコラーゲン線維が多い筋肉なので、筋肉線維が多い他の部位と比べてもやや硬めなので、例えば太もも前の大腿四頭筋と同じようにストレッチすると逆効果になりかねません。
言ってしまえば、大腿四頭筋は袋に入ったお肉、ハムストリングスはその袋をつり下げている伸び縮みするヒモくらいの関係だと考えた方がよいです。
かなりの人が、ひっぱるように伸ばすことがハムストリングスのストレッチだと思っている、又、脚であげることがグランバットマンやキックだと思っているので、いつまで経ってもハムストリングス本来の力が発揮されずに、逆により硬くなってしまう傾向が診られます。
その結果が、ハムストリングスの肉離れです。
ハムストリングスは、コラーゲン線維が多いとは言っても、筋肉線維もちゃんとあるので、ある程度の負荷に耐えられはしますが、結果、腱から筋肉に移行する部分、つまり、関節の近くに症状が出るのです。
それが坐骨周辺、坐骨直下、そして、ひざ下の外側周囲。
内側のハムストリングス(半け半膜様筋)に負荷がかかると、ひざ下の内側に症状が出ます。
(鵞足炎と言われます)
痛くなって直ぐに治療をすれば回復は早いのですが、何故かこのハムストリングスの症状、長引かせて来院するケースか少なくありません。
カラダの全体性で踊れてしまうからもあると思いますが、日常生活でも痛い、脚を5、60度あげる程度でも痛みが出る位までになってしまうと、大腿四頭筋や殿筋、人により腰や背中にまでひずみがきているケースもありました。
そして、みんな大転子が落ちていて骨盤のアライメントが崩れ、開脚に支障がきています。
どのジャンルのダンスも脚だけで踊る訳ではないのに、脚に負担をかけてしまう…
だからこそ、踊るカラダのバロメーターとして開脚が肝心と言っています。
開脚本の解剖学の章でも書いていますが、ハムストリングスを伸ばすコツは、適切な姿勢ですよ。
治療は、炎症が残っている場合は、
炎症を取り除くことが最優先
です。
そして、負荷がかかってガチガチ肉離れなっている部位をゆるめていくことが大切。
炎症がとるだけ、硬くなっている筋肉、しかも痛いと言う部分だけと言う部分治療だと再発しやすいです。
バレエやダンスの動きは、カラダの全体性で成り立っています。
ハムストリングスは脚を伸ばすために必要不可欠な部位とはいえ、ハムストリングスだけ脚が伸びる訳ではないので、そこだけゆるめてもなかなか治りにくいのです。
バレエ鍼灸は、約四半世紀、バレエの解剖学を追求してきたあんじゅならではな治療ノウハウが土台になっています。
そして、リハビリも必須です。あんじゅでは、理学療法でおこなわれる内容とは違った、踊るカラダのためのリハビリメニューがあります。
その土台が開脚エクササイズです。
本で紹介しているエクササイズは、全て骨盤を用意立たせるために考えたものなので、ハムストリングスのリハビリにももちろん使えます。
さらに、本で紹介しているエクササイズの中級バージョン、上級バージョンもあるので、クライアントさんそれぞれの症状に合わせてやってもらっています。
ハムストリングスは、思いっきり伸ばそとしても逆効果。ポイントは、ハムストリングスが伸びやすい姿勢ですよ。