よくいただく疑問・質問の一つに『甲』の話があります。
『きれいな甲のあるダンサーになりたい』
『もっと甲が出てるといいんだけれどな…』
『甲がないので、ポワントで立ちきれない』
というものがあります。
クラシックバレエを習っていると気になってしまう甲。確かに、『白鳥の湖』の第3幕、ジークフリードを誘惑しようと登場したオディール役のバレリーナが脚を出すシーン。
スッと伸びたダンサーの甲はとても魅力的ですね。
実際の声
『トゥシューズ(ポワントシューズ)をはき始めて、最初はとても喜んでいたんですが、そのうち足が痛いと言いだして。ストレッチとかするのですが、あまり変わらず。これはどうにかならないのでしょうか?』
このようなお問い合せをよくお母様からいただきます。
また
『うまくのりきれなくて、ふくらはぎがパンパンになってしまうのです。』
『トウシューズをはく度に甲がないのが気になって…』
このような声は趣味で踊っていらっしゃる大人の方からよくいただきます。
お教室の先生方からは
『甲が伸びきらなくて、膝が曲がってしまう子がいるんです・・・・』
とお聞きします。
実際にどうなのでしょうか?
Q甲があればポワントにのれるのでしょうか?
Qストレッチをすれば甲が出るのでしょうか?
バレエ的な視点で診ると、答えはいずれもノン・イイエです。
確かに甲の出ているダンサーの足はラインがとても美しい。けれど、実際に甲の出ているダンサーからよく聞くのは、『重心が前にいきすぎてしまうから、逆に上に引き上げてなくちゃいけないのよね』という声なのです。
そしてストレッチを欠かさないプロのダンサーさん達全員が、誰もがあこがれるシルビー・ギエムやスヴェトラーナ・ザハロワのような甲をもっているのか?というとどうでしょうか?
ひとり一人のカラダの構造が違っているのですから、甲の形も違ってくるのは当然ですよね。
バレエ的な視点で大切なのは、しっかりポワントで立てること。
ポワントで立たせてもらっているからポワントで立ち切れないのです。
そのために大切なのはアライメント。
腰から足部へのラインがずれて腰が引けたままの状態ではアテールではなんとかタンルヴェできてもポワントでは立てないのです。
では、ポワントで立つにはどうすればいいのでしょうか?何が違うのでしょうか?
プロのダンサーさんの大きな違いは、甲の形ではなく『足の厚み』。
厚みのある足から上へ、アライメントががしっかりしているので、ポワントワークが安定しているのです。これは大きな意味があります。
今回は内容が盛りだくさん。いくつかに分けてご紹介していきますね。