パリオリンピックの話題をもう一つ。
メダリストの足に見えた強さに秘密を解剖します。
上の写真は体操界の現女王・シモーネ・バイルズさん。
下の写真は水泳飛び込み界初のメダリスト玉井陸斗さん。
やり投げの北口榛花さんと同じように、ふと画面に映った二人の足ゆびにまたびっくりしました。
個人種目跳馬の2回目の助走の前に一瞬映った彼女の足のゆび。
男子飛び込みの決戦で、後ろ向きに飛び込む前にルルヴェになった瞬間の彼の足のゆび。
バイルズ選手の足ゆびは10本ともすべてそろってスタートポイントのシートの上に伸びていて、ゆびの先の先まで密着しています。
特に母趾の密着度は一番高かったです。
気になったので、他の選手の足ゆびも見たのですが、彼女ほどそろっていませんでした。
そして玉井選手のルルヴェ。
これも過ごすきます。
飛び込み台の端っこにMP関節だけで立ち、その先の足ゆびの腹(裏側)がぴったりと台に吸い付いたままルルヴェしているんです。
機械体操では着地をどれだけ安定させるかがポイントとして解説されます。
飛び込みでは、飛び込んだ瞬間の水しぶきが少ないことが美しい飛び込みのポイントだと繰り返し解説していました。
体操は、どの種目もスピードと着地の負荷が大きいため、スタート時、演技中に足ゆびが固まっていない方がスムースに動けるので、着地も安定しやすいのでしょう。
彼女の安定した演技にはこんな秘密があったのか?と感じたのが8月4日のこと。
その後8月11日に見た動画で玉井選手の飛び込みを見た時、彼の足ゆびに気づいて、二人のメダリストの共通項「足ゆび」が強さのポイントだと改めて納得しました。
体操も飛び込みもつま先の美しさが求められます。
二人のつま先はしっかり伸びています。そして大事なことは、ゆびを握っているようで握っていないのです。
強さの秘密は
ゆびの腹でしっかり床を捉えていること
ゆびを握ると最終的に他の関節に力が伝わります。(例えば膝が曲がる)そうするときれいな入水からは遠ざかります。
同じことは、手の指でも感じられます。
ゆびをぎゅっと握ると肘や肩が動かしづらくなるので、やってみてください。
足ゆびも同じなのです。
開脚、スプリッツ、カエル、アラベスク、ディヴェロペなど、苦手がある人は、ジュニアも大人もほとんどの方が足のゆびを握っています。
そしてプロさんもケガや不調になっている時は、足ゆびから足首までのラインにゆがみが出てつま先が伸ばしにくくなっている状態が多いです。
今より一歩先にいきたい方は、足ゆびを握らずに固めずにつま先を伸ばせるように直すのがとっても大切なんです。
あんじゅのコラムではたびたびつま先について取り上げています。
そのコラムから二つリンクを張り付けました。こちらからご覧くださいね。
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長/日本バレエワークアウト協会理事/芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange