大腿骨の紹介、第2弾に続きます。
第一回で長い骨と紹介しましたが、骨盤にはまっているところは外に出っ張っています。
そう、これが大転子です。
『お尻の外にある出っ張り、レッスンでお尻を引っ込めてと言われるのになかなかそうならない…』
こういう時は、お尻じゃなくて、この大転子が斜め外に落ちていることが多く診られます。
『学年があがるほどお尻が大きくなってきて…』
というタイプも大転子を外に押し出して立っています。
なんとかしたいこの出っ張り。
今回はこの太ももの骨、大腿骨の上の部分、大腿頸部と大転子を紹介します。
股関節にはまっている部分からこの大転子の下までを大腿頸部と言います。
大腿頸部はとっても大事な役目があるのです。
車に例えると、車軸に当たります。
そして大転子は車輪に当たります。
車軸にも左右が一緒になっているタイプ(車軸懸架)と左右が独立しているタイプ(独立懸架)があって、人のカラダは左右が独立している車軸タイプと言うことになります。
この頸部(首という意味です)長さに差があります。さらに出っ張る方向にも個性があります。
ダンサーやターンアウトができている人は大腿頸部が短く見えますが、それは大腿骨が股関節から外旋されていることからきていることが関係しています。
この首の部分が横に出っ張っていてやや長めなのがO脚タイプです。
片方に股関節の臼蓋形成不全や股関節脱臼があるとこの首の部分の長さや形に左右差が出ます。
一般的に左右の骨盤の幅はほぼ同じで、大転子や大腿頸部もほぼ同じ形をしている、はずなんですが、多くの人が左右差を感じています。
『左のお尻の方が外に出やすい』
『イスに座って入ると右のお尻にばかり座ってしまう』
このような日常生活での左右差は、大腿骨の大転子の形に左右差があるというよりも、脚を組んだり横座りしたりするクセや上半身のゆがみや頭部のズレがカラダの下部にある骨盤や大腿骨の大転子に影響しているケースが多く診られます。
骨盤や大転子の左右差の多くは日常生活のクセと関係あり
参考 骨盤のゆがみ
バレエで言うと
『右のパッセと違って左のパッセははまりにくい…』
『左のドゥヴァンがあげやすいのに、右はお尻の下があがってしまってあげにくい…』
このような悩みも大転子や大腿頸部の形に左右差があるから、というより立ち方や脚のあげ方、体幹のスクエアがキープする力不足などが関係していることがほとんどです。
ただ、臼蓋形成不全や股関節脱臼というカラダの個性をもっているタイプの人は、左右差があるためにパッセやアラベスクに差がでてしまいます。
それを無理して同じにしようとすると運動負荷が関節に影響することがあるので注意が必要です。
そしてターンアウト(アンドゥオール)に欠かせないのが、この大転子がなるべくお尻の下に回っている姿勢をつくることです。
ここでネックになることが一つ。
骨自体には運動神経は走っていない、ということ。
なので、お尻の下にぐいぐい力を入れてもはまりません。
だからといって、殿部を下から押し上げてもあがらない…
大転子周りに関係している筋肉は外旋筋と言われますが、縫工筋やハムストリングスと違って、それぞれがとても小さいと言う特徴があります。
お尻の大きな筋肉でグイグイ固めてしまうと、中にある小さな外旋筋が働かなくなってしまって、逆に殿部が外の発達してしまいます。
左右で同じにならない…と感じている殿部周り(大転子周り)、どうすれば同じようなラインにすることができるか?
なんとかしたいそのもの(この場合は大転子)ではなく、カラダの上や下にズレやゆがみを減らすようにすることなのです。
特に大腿骨は脚の骨。脚には強いパワーを発揮することができる利き足があります。
反対側の脚(たいていは左)は利き足に負けてちょっとずらしてつかっていることが少なくありません。
それが膝押し立ちなどに現れるのです。
立つ姿勢は脚だけ見ていていは完成とはなりません。
解剖学の初回で紹介したとおり、脚から下はカラダの4割ほど。6割は骨盤から上が占めている。
つまり、大転子を引っ込めたいなら、骨盤から上の上半身のスクエアをしっかり保つこと、これがとても大切なのです。
・大腿骨の首・大腿頸部は車の車軸
・ターンアウトしていると頸部は短く見える
・大転子に左右差があるケースはカラダの個性が関係している
・それ以外の殿部の左右差は、座り方や立ち方のクセからきていることが多い
・臼蓋形成不全・股関節脱臼の場合は、頸部、断転子に左右差が出る
・大転子をスッキリさせるコツは、上半身のスクエアをしっかりキープして引き上げておくこと
【院長プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
○毎月一回フロアバレエクラス開催中
カラダが引き上がって脚が軽くなっていきます。一緒に踊ってみましょう~
○トレーニングメニュー【ターンアウトアップ】と【バレエの解剖学】から開脚の本ができました。
『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○踊りやすい、動きやすいカラダについて解剖学の外部講師活動もおこなっています。(活動レポート)