床に座る時、何気なく横座りするってありますよね。でも気づかないうちにどちらか一方だけで横座りしてたりしていませんか?
『左のお尻が下になって入る方が楽だわ』、という場合、ほとんど方で骨盤にゆがみがでています。聞いてみると『そうなんです。左右で違いがあるんですよ』と答える方はとても多く、左右どちらかの骨盤が外に回旋していたり、骨盤のラインが下がっていたりという状態になっているのです。
こういうゆがみには、片一方で横座りをしてしたその後で反対側でも横座りするのがオススメ。
確かに反対側は気持ち悪いんですよね。。。
でも、少しずつ両側均等に座れるようにコツコツ続けてみてください。『あ。。。反対側も~』の意識が少しずつカラダを変えていってくれるのです。
でも
なぜ、横座りで得意不得意があるのでしょうか?考えてみてください。
『クセなんだもの』と言う方がとても多いのですが、どうしてカラダのクセがあるのでしょうか?
利き手利き足ってありますよね。あれは、どうしてなんでしょうね。右で字を書いたり、フォークをつかう人は、反対の左ではうまくいきませんよね。それは、長年そうやって右手で字を書いたり食事をしたりしてきている、つまりカラダはそちら側で訓練されてきたからなのです。
でもお箸とフォークは右だけれど、ラケットやバットは左手打ちという人もいます。これもやはり訓練の一つなのです。カラダをコントロールしていくには、時間をかけてあげることはとても大切なのですね。
そして時間経過以外にも『左右差』という理由があるのです。
カラダの左右は同じではないのです。
ひとり一人のカラダって、骨も筋肉も左右全く同じということはないのです。
セラピーで骨盤のゆがみをチェックする際、皆さんに自分の骨のイメージをお聞きすることがあるのですが『え~ああいうがい骨模型の骨が自分のカラダの中に入っているんじゃないんですか?』というお答えがとても多いのですね。
そう、よく見かける骨格モデルは、ほとんど左右対称に作ってあります。でもそれは模型だからそうなっているのです。手鏡を自分の鼻に置いて映った顔をみるとなんだかアンバランスですよね。それに、自分の足のサイズは左右同じでしょうか?微妙に左の方が長かったり、右は幅広だったりと違いますよね。
あなたのカラダの骨は左右対称ではないんです。
左右が違うということは、そこから始まっている筋肉にも差があるということなのです。
例として側湾でお話しますね。陸上100m走の金メダリストフサイン・ボルト選手のように脊柱に側湾がある人の起立筋は、なだらかなS字型をしている脊柱に人とは明らかに違っていますよね。
このような特徴的な例を挙げてみると分かっていただけるのですが、案外皆さん、がい骨モデルと同じものが自分のカラダに入っていると思っているのです。
自分のゆがみを理解してゆがみを解消する次のステップにいくには、まず、がい骨ではなくて、自分のカラダの造りがどんな状態になっているのか、それをつかむことが大切なのです。
椅子に座る時、自然と脚を組んでしまって、はっとして戻す。
そういうことありますよね。そして横座りと同じように、どちらかいつも決まって組んでしまう側があったりもします。
椅子に座ったとたん脚を組むのは、骨盤にゆがみがある証拠です。
ではこういう場合はいかがでしょうか?
◆自分の腰の高さにぴったりあって、脚がしっかり床につく椅子に座るとしたらいかがでしょうか?
こういう場合も脚を組むとしたら、ちょっと注意かもしれません。でも、案外皆さん脚を組まずに座ってられるのです。
では、こういう場合はどうですか?
◆オーディションでインタビュー受けている時を想像してください。この緊迫した空間で脚を組んで座りますか?
たとえ自分の腰に高さにあっていない椅子でも、緊張感があると脚を組むどころではなくなってしまいますよね。それは、場の緊張を受けて無意識にカラダをコントロールしているからです。
いつも組み脚をしてしまう人は、普段座っている椅子が合っていないと考えてみるのが一つのポイント。自分の腰にあった高さにすることはとっても大切なことです。でもお気に入りに椅子をいつも用意しておける状況の方が少ないのが普通なので、座り方を工夫していきましょう。浅く腰掛ける、深く腰掛ける、そういう座り方というより、自分の脚がしっかり床に着く位置で座る、それがコツです。
この座る、という動作。このときにとても大切なのものがもう一つあります。
それはインナーマッスルなのです。
座る時にも、とっても大切なインナーマッスルに気けるといいですね
以前、テレビで野村萬斎さんのインタビューを見たことがあります。
その時の衝撃がずっと頭から離れられず今に至っています。
私の記憶にずっと残っているのはなんだったかというと、萬斎さんの姿勢なんです。
衝撃的だったのは、ピンとした姿勢だけじゃなくて、その姿勢から出てくる声もそうでした。
半端なく通る声とピンと張った姿勢、それがとても印象的だったのです。
先生や生徒を含めバレエダンサーのすらっとした姿勢は、見慣れているから逆に意識しなくなっていたのかもしれないです。
ダンサーだけじゃなく、お能や歌舞伎など伝統芸能の役者さんの姿勢も格別に美しいですよね。
そしてその姿勢を支えているのはインナーマッスルなのです。
インナーマッスルというと直ぐ=脊柱起立筋と言われてしまいますが、それだけがインナーマッスルではありません。
カラダの奥の骨にあって姿勢を保持する役割をしている筋肉がインナーマッスル。
このインナーマッスルは座っている姿勢も保持しています。
つまり、座る時に組み脚をしてしまう人は、インナーマッスルの鍛錬が足りていないということでもあるのです。バレエでは、このインナーマッスルの意識がとても大切なことは皆さんご存じだと思います。
バレエのレッスンはカラダを均等に育てるようにつくられているので、レッスンの時に自分のカラダの使い方をしっかり見直すことは大切です。そして肩では肩甲骨、腰では骨盤のどこを意識すればいいのか具体的な場所が分かっているとより楽になります。
床に座る時、自然に脚を組んで座っていたりしますよね。
では長座はどうでしょうか?
脚を真っ直ぐ前に伸ばして座る長座、これが苦手な方がいます。それはハムストリングがつっぱってしまうから。バレエを踊っている方にも、これはあまり好きではないという方少なくないです。
長座が苦手なのは、腰が立っていないからなんですね。この時に言っている腰とは、骨盤のこと。バレエのストレッチを紹介する本などでも腰を立てて、と書いてあります。
けれど、そうしようとすると脚の付け根とハムストリングがつっぱって膝が曲がる、膝を真っ直ぐにしようとすると、今度は骨盤が傾いてしまう。だから長座は好きじゃないになるんです。
こういう状態になっている人は、骨盤にゆがみを抱えています。
では、今回はここで質問を出させていただきますね。
長座でハムストリングがつっぱってしまったら、あなたはどれを選びますか?
踊っている方でⅢを選ぶ方は少ないだろうと思います。でもⅡよりⅠをやっていることってないですか?まず膝を伸ばしてみようとする。
でもこれは逆にハムストリングをつっぱらせてしまう原因でもあるのです。ハムストリングがつっぱるのは、反対側の筋肉、太ももの前にある大腿四頭筋がつっぱっているから。付け根がつっぱっているのは、四頭筋の腱にテンションがかかっている証拠でもあります。だから最初に腰=骨盤を立たせてあげて、太ももの前の筋肉のテンションを下げてあげるのがポイントなのです。ハムストリングがつっぱる、そして付け根が痛くなる、その原因は骨盤の形を見るとなるほど、となります。
Ⅰ 少しでも膝を真っ直ぐ伸ばさせようとする
Ⅱ 腰を立たせようとする
Ⅲ 手を前に伸ばして上半身から伸ばしていこうとする
ハート型、ボール型、と言われる骨盤の形を意識してみましょう
図にもあるように、骨盤はとっても不安定な形をしているのです。
お椀型とか、”ろうと”状とかボール型とか言われていますが、半分の円の縁を削ったような形をしています。
窪んでいるところに内臓がはいるので、こういう形になっているのですね。でもだからこそ、不安定でコントロールするのが難しいのです。
図で坐骨と書いてあるところ、この出っ張りからハムストリングが始まります。そして下前腸骨棘と書いてあるところから太ももの筋肉=大腿四頭筋が始まります。
だから骨盤を後ろに傾いていればいるほど、太ももの前に筋肉が引き延ばされて結果付け根がつっぱる。前側に強いテンションがかかっているので、ハムストリングもつっぱってしまうのです。ハムストリングだけじゃなくて、四頭筋と両方テンションをゆるめてあげるために骨盤を立てておくのがよいのです。
ここまで読んできた感想はいかがでしょうか?
バレエにおいて、骨盤の位置ってとても大切なんですね。
レッスン前によくやるストレッチの一つに、足裏を合わせて自分に近づけてくるのがありますよね。脚を近くに寄せてくるほど、腰が落ちてしまうとしたら、骨盤にゆがみがでている証拠です。
このストレッチの時に一番伸ばして上げたい筋肉、それをしっかり意識してストレッチすることがポイント。
その筋肉はどれなのでしょうか?
しっかり意識したいのは“縫工筋や内転筋”なのです。
縫工筋は股関節をターンアウトさせてくれる筋肉なので、ここをしっかりストレッチさせてあげたいのです。
え、でもこのストレッチで大切なのは、膝が床につくまで伸ばすことなんじゃないんですか?とよく質問をいただくのですが、これはある意味正解だけれど、別な意味では不正解なんです。
正解不正解は、これで見分けます ↓ ここ大事です!!!
◎ 膝が床についていても、腰のラインが落ちていない→縫工筋がストレッチされている
× 膝を床につけようとすると、腰のラインが落ちる→縫工筋ではなくて、四頭筋をつっぱらせている
バレエにおいて股関節をターンアウト(アンドゥオール)させていることはとても大切。解剖学的に言うと股関節を外に回してくれる筋肉をまず意識してつかえるようになることがポイント。その筋肉に一つが”縫工筋”なのです。
でも、太ももの前の構造を見ると分かるのですが、縫工筋の下に、太ももで最大の筋量がある大腿四頭筋がいるのです。この四頭筋には、とっても悲しいかな、股関節をターンアウトさせる働きはないのです。。。。
脚を寄せてきても腰が落ちないようにするコツ。それは、最初に膝を少しゆるめたところからスタートする、ことです。こうすることで、四頭筋の膝を伸ばさせる働きが少しゆるまるのです。そこから勢いをつけないで、脚全体ではなく、踵を坐骨に近づけるようにしてあげるのがもう一つのコツ。そうすることで四頭筋にテンションがかからないようになるのです。
四頭筋にテンションがかかるとなぜ縫工筋がうまく働かなくなるのか?その理由は解剖学の原則があるからなのです。
大きな筋肉はとっても簡単に働く
踊っていると、踊りのポーズが普段の生活でもでてくることってありませんか?
別に意識しているわけでもないけれど、床に落ちたものをとろうとして、膝を曲げないで取っていたり、片脚を台に乗せる時に軸の脚は真っ直ぐ、骨盤も傾けないように平行にして脚を持ち上げたり。何気な~くやってたりしませんか?
私たちにとって何気なくとっている動き、実は普段の生活では特別なことだったりします。
バレエライフをおくっていない人は、床のものを拾う時には、腰を曲げたり膝を曲げたりします。脚を持ちあげる時には、支えている脚の膝を曲げて体重を支えようとするので、その反動で腰がさがったりするのです。でもこれは普通のことなのです。
普通の動作では、筋量がある大きな筋肉が先に働いてカラダを支えようとするのです。これは普通の解剖学的に見ると正しいカラダの動かし方。つまり、私たち人間は踊るのではなく、動くために筋肉を使うからなのです。
そうですよね。確かに遺跡の壁画には、踊っている棒人形のような絵が描かれているのをどこかで見たことありますよね。私たちの祖先が日常で踊っていたことは、考古学的にも分かっていることですが、その時の踊りは骨盤を傾けないように踊るバレエというより、音楽にあわせてカラダを動かすという原始的な踊りだったのです。
バレエで大切なのは、ある角度までは骨盤が平らであること。それは股関節をターンアウト(アンドゥオール)させるためなのです。股関節をターンアウトしようとして四頭筋をつかってしまうことが多いのは、『筋肉では大きな筋肉から先に使われる』という解剖学的な理由があるからなのです。
大きな筋肉は、ちょっとの力でまとまってカラダを動かしていく。
だから脚を腰に寄せてくる時に、力で寄せてくると後ろの腰のラインが落ちてしまうのです。それは、四頭筋のテンションが膝から付け根に伝わり、より働こうとして付け根を後ろに押してしまうから。
もちろん、この時上半身=トルソがでっぷり腰に乗っかっていたらより腰の負担がかかってしまいます。上半身の筋肉も大きな筋肉だからです。
そこでご紹介。
四頭筋を働かせず、股関節をつまらせず、脚を寄せてきて縫工筋をストレッチする方法
最初に膝を少しゆるめる |
軽く脚をプリエにして(開いて)踵と踵を合わせる |
踵と坐骨のラインを一直線にする |
ゆっくり息吐きながら、背筋を伸ばす |
踵を坐骨に近寄せるように意識しながら脚を寄せてくる |
この時、足をもって一気に脚を自分にちがづけて、太ももを押して床につけようとする。これは四頭筋を働かせてしまうもったいないやり方なのです。
大腿四頭筋はつかいたくない、と言っても、この筋肉も実は大切です。この筋肉がなければ、プチソーテやビッグジャンプは成り立ちません。しっかりターンアウトしている人は四頭筋は太くなりません。それは股関節からターンアウトし、上半身で支え、全身でそれをコーディネーションしているからなのです。
脚を開くことばかりを考えていると、どうしても太もも前の最大筋肉・四頭筋ががんばってしまう。そうならないように大切なのは、脚だけで踊らないことなのです。
トンベ、パ・ドゥ・ブーレ、グリッサード・グランジュテ!
パッと両方の脚が開いて前後に伸びているラインは、バレエらしい美しさの一つですね。
バレエのストレッチでよくやる前後スプリッツ。以前は楽々できたのに、どうして今はツライの。。。。
故障をした後や、ブランクがある人がよく感じるのが左右差。どうして起きるのでしょうか?
『もう歳だから…』と20代のクライアントさん口からこういう言葉が出たことがありますが、本当に歳だから硬くなって脚が前後に伸びていかないのでしょうか?
前後スプリッツで、苦手な側がある方はここをチェックしてください
◇骨盤が後ろに傾いていないか
◇どちらかの膝が内側にはいっていないか
◇坐骨神経痛や股関節痛、膝痛などが治っているか
前後スプリッツでも、股関節から下の脚はターンアウトしていることが大切です。なので、骨盤がたっている状態から始めることがリハビリのコツ。ほとんどの方 が、上から体重をかけてギュウギュウ下に降りようとしているのですが、こうしていると、ハムストリングや四頭筋の腱に負担がかかりすぎて痛めてしまう。
痛めたのが、腰や足首だとしても、この方法で続けていると、やがて治ったはずのところにも負担がきてしまいます。
左右差をカバーしようとしてどちらかの膝が内側にはってしまう状態は、ターンアウトとは逆の動きターンインの状態です。ターンインの時に伸びる筋肉は内転筋なので、骨盤を立たせてくれることにはなりません。
なので、最初は前の膝を折るスタイルから始めてみるのがコツ。この時のしっかり骨盤はたてておくことが大切です。
でも、どうして、スプリッツで左右差があるのでしょうか?
◎骨盤がたっていない
◎大きな筋肉、四頭筋・ハムストリングを伸ばそうとしている
これまで見てきた理由が当てはまりますが、そのほかに『筋肉の構造』に理由があるのです。
解剖学の大原則 大きな筋肉から働く
これまで見てきた理由が当てはまりますが、そのほかに 『筋肉の構造』に理由があるのです。
筋肉は、お顔の筋肉(表情筋)をのぞいて、そのほとんどは【骨から始まって骨に終わる】のです。つまり、一つの関節をつくっているある骨の部分から始まった 筋肉は、その下、もしくは横、上の別の関節をつくっている骨の部分に止まるのです。そして、筋肉の終わりの部分が始まりの部分に近づこうとして、筋肉が動いていくのです。
前後スプリッツで伸ばしたいのは骨盤周りや脚の筋肉ですよね。でも皆さん、多くの方が上から体重をかけて押してくる。この時の体重がかかりやすいのは、力学的に見ても大転子や坐骨、恥骨など、骨盤ちかくにある部分です。しかも、体重がかかっているので、関節の間にすきまをつくりにくい状態になっている…
筋肉が緩やかに伸びていくには、関節の間はつめないほうがよいですよね。前後スプリッツでは、脚の筋肉が始まる腰の位置をより下に落とそうとするのではなくて、脚の筋肉の終わりの関節、カラダで言うと膝より先が前後の先に伸びていくイメージでストレッチするのがコツ。
足先の方がより先に伸びて いくから、腰が下に落ちる隙間ができるのです。
そう、レッスンでも隙間を開けて‼と言われるのは、同じ理由からなんです。
ここで復習
前後スプリッツで両脚が床に着くようにするコツ
○骨盤をたてておこなうこと
○骨盤をたてて、上半身をしっかり右・左に回した後、脚の骨を前と後ろに伸ばしていく
これは、ケガの原因になりやすい方法です
○上から体重をかけて脚の筋肉をのばそうとする
どうしても腰と床の間が空きすぎてしまうなら、座布団のようなものの上に座ってやってみてください。
先に、脚の骨を踵から先に伸ばして上げようとする、これがポイントです~
実はこれ、踊ってない人の方が、楽々できてしまう場合があるのです。 こう聞いて、『え…』となってしまいましたか?でも大丈夫、まずは、何故そうなるか、の理由をみてみしょう。 それはこんな理由があるからなのです。太ももの筋肉を意識して働かせすぎるから。 『そんなことはないわ? 脚には力はいれていないもの…』と思ったら、ここをチェックしてみてください。それは、膝を抱えている手です。 その手で、脚を押してもってこようとしていませんか?膝を胸に近づけたいあまり、一生懸命押して近づけようとするのは逆効果なんです。この時、つけ根で突っ張っている硬いものがありますよね。それがなんだかご存知ですか?その突っ張りの正体こそ、一番意識して使いたくない大腿四頭筋の腱なのです。膝を抱えて胸に近づけたい時には、この四頭筋の腱を突っ張らせないことが大切なんです。ここは、少しイメージ力がいるところなのですが、ポイントは、膝を抱えてくる時に、手に力をいれて勢いをつけて近づけてこない、ことです。勢いをつけると、前にもご紹介した『大きな筋肉から使われる』理論、(四番目)で四頭筋の腱とお尻の筋肉=大殿筋が先に働きやすいのです。まっすぐ胸に近づけて突っ張るのは、四頭筋のつけ根を押してしまうから。四頭筋の腱は太くて強いから、こうなってしまうともうリリースしにくいのです。実は、膝を曲げた状態は、太ももの前の筋肉=四頭筋にとってはテンションがかかっている状態でもあるのです。それは、四頭筋の働きに原因があるのです。 |
実は、四頭筋には膝を曲げる動きはないのです
筋肉には、幾つかの働きがあります。 四頭筋には、股関節を曲げて脚と胴体を近づける=股関節屈曲の働きがあるのです。でも、それ以外に、膝をまっすぐに伸ばす働きとか、 立っている時に他の靭帯とあわさって姿勢を保持する、という働きがあります。ここであれって思いませんでしたか?膝を曲げるのはどの筋肉?ですよね。膝を曲げる働きがあるのは、ターンアウト=アンドゥオールさせる働きがある縫工筋なんです。ひとつの筋肉は、ひとつ以上の違う働きをもっている、これは解剖学的なお話しなのですが、知っておくとよいと思います。そして、私たちが一番意識したい縫工筋が、股関節をターンアウトさせる働きの他に、膝を曲げる屈曲の働きももっているのです。筋肉は、骨についているので、ついている場所によって、幾つかの働きをかねている。その筋肉をバレエ的にターンアウトさせるように鍛えていくことが、バレエの基礎訓練であり、レッスンの内容はそのように組まれています。レッスンでは、よく股関節の間に隙間を開けてとか、脇と腕の間に卵を挟むようにして、と言われますよね。脇と腕の間なら、空間は開けられそうだけど、股関節はカラダの奥なのに、そんなことできるの?ですよね。一般の解剖学的には、あり得ないことなんですが、バレエの解剖学でいうと、股関節の間に隙間を開けるは、=四頭筋の腱を詰めて、無駄に四頭筋を働かせないように、ということなんです。股関節周囲がほぐれないからと、骨盤の前にある腸腰筋をほぐしなさいというセラピストもいます。確かに腸腰筋も硬くならない方がよいのですが、いくら腸腰筋がほぐれていても四頭筋の腱が突っ張ったままであれば、ドゥヴァンに脚は上がらないのです。なにより、まず、四頭筋の腱を突っ張らせないことが大切なのです。ドゥヴァンのディヴェロッペの時、脚を自分に引き寄せてこないように、というのも、四頭筋の腱がターンアウトを阻害させないようにするため。ザハロワのレッスンビデオでもそういうシーンが見られますよね。寝てできないものは、フロアで立ってやるのも難しいもの。何故かと言うと重力があるから。なので、まずは寝た状態で、膝を抱えて楽々胸につけられるようにようになることを目指してみましょう。これができると、腸腰筋の働きをさらに活かすことができるので、そのまま脚を伸ばしてストレッチしやすくなります。そして、それは、フロアで言うと、高く脚をディヴェロッペさせることへとつながっていくのです。 |
レッスン前に股関節をゆるめようとよくやるストレッチに仰向けプリエがありますね~このストレッチ、4番の膝を寄せてくるストレッチと似ていますが、床に寝ている分、座っている時立っている時の重力と比べると少ないですよね。でも、このポーズをすると腰や股関節や太ももにつっぱり感を持つ人が少なくありません。。。そして、このポーズで左右の膝の高さが違っている場合、ほとんどのケースで骨盤にゆがみがあるのです。この時、左の膝が高い=左の骨盤がゆがんでいる、のような公式がある訳ではないのですが、『首から足まで全部左側がダメなんです』という方の場合、左の股関節がつまっている時、左の腰がつっぱっていることは少なくありません。どうして、左右同じように開かないのですか・・・・・とよく質問を受けるのですが、『バレエの骨盤のゆがみチェックリスト解説編』をここまで読んできてくださった方は、すこ~し思い当たるところがあるのではないでしょうか~?そう、解説編①でお伝えした『がい骨』は1人ひとり違っていて、左右だって同じじゃない、がありましたよね。 左右の股関節のヒップソケットだって同じとは限らないのです。ハート型の骨盤の左右の骨=腸骨だって、全く同じという人の方が少ないのです。そこで、思い出してみてほしいのです。『開かない脚の方に揃えましょうね~』レッスンでこう言われることはなかったでしょうか? これは、開かない方の脚を開く方の脚の角度に揃えようとすると、開かない方の脚が育たないから、なのですね。なぜなら、バレエは、左右両脚でカラダを支えるものだからなのです。 |
左右均等カラダを育てることが大切なのです
左右両脚あるって分かっているのに…なのに、どうしてもどちらかの脚ばかりつかってしまうってあるのです。 それが、あなたのカラダにあるクセ!クセがあると分かってレッスンするってなかなかできないものだけれど、そこから出発することが大切なのです。そうしないと、開かない方の脚ばかりにが気になってゆがんでしまうから。1番から5番、そして6番まであるバレエのポジションは、ご存じのとおり、両脚でカラダを支えるポジションでもあります。そうですよね。バレエ発祥の地、フランス、そしてバレエ育成の地ロシアの人たちの脚は確かに真っ直ぐな脚をしています。でも、だからといって、始めから左右全く同じであることは、医学的に診てもすくないのです。なぜならダンサーさんの中には、側湾をもっていたり、左右の肩の高さが少し違っていたりするダンサーさんもいるからです。それでも、一流のプロフェッショナルになれているのは、何故なんでしょうか?それは、子供の頃からちょっとずつ、左右均等にカラダをつかえるように訓練を積んできたからなんです。力を入れて5番に入れようとするとどうなるか? そうです、解説編④でお伝えしたように、大きな筋肉が先に動いてしまうので、ターンアウトに関係する細くて細かい筋肉が使われにくくなってしまうのです。『もっと開いて』『もっとクロス』と言われる場合もありますが、一番大切なのは、股関節がターンアウト=外旋していることで、足先や太ももの筋肉で5番にしめようとすることではないのですね。こことっても大事なんですが、どうしても開かなくてはという意識が強いと、自分でも太ももに力はいっているって気づけないことが本当に多いのです。。。しっかり立とうとしたり、5番をギュッとしめようとするレッスンを続けていると、どんどん太ももの一番大きな筋肉大腿四頭筋とお尻の大きな筋肉大殿筋が育ってしまって、下半身のラインがバレリーナのようなほっそりではなくなってしまいます。子供の頃からずっと習ってきたのに、太ももが出っ張って脚が太くみえてしまうという生徒さんの場合は、一度ギュッとしめて5番にするのをすこ~し止めてみることがオススメです。その代わり、自主練する時に、開きにくい方の脚に合わせた1番3番4番5番を練習してみるのがコツです。他のダンスとは違って、どのスポーツとも違って、特にクラシックバレエの場合は、細くて細かい股関節外旋筋群とカラダの奥深くにあるインナーマッスルをじっくり鍛えていくことが大切なのです。大人から始めた方でも、この意識を変えてみる、それが成果につながっていきますよ~ |
さて、ここでも⑦と同じように床に寝たプリエで脚を一番に伸ばしてみてください。 この時、一番になった状態でハムストリングが床に着いているでしょうか?もし、そうでなかったら、骨盤にゆがみがでていること証拠なのです。実は、この床の上に寝ると言うポジションってとても難しいのです。なぜなら、自分で真っ直ぐのつもりでいてもほとんどの方が真っ直ぐになっていないからなのです。セッションでは、一番最初にこの姿勢をチェックします。なぜなら、寝てできないものは立ってもできないから、なんです。立っている時は、カラダ全体の筋肉や骨の総合力で真っ直ぐ立っている気がしているだけで、実際に拝見すると骨盤とトルソの間に捻れがある場合はほとんどなのです。この状態で床に寝ると、当然カラダはゆがんでいます。けれど、自分ではほとんどそれに気づいていないのです。アライメントを真っ直ぐに補正すると、逆に『自分的にはなんか居心地が悪い』とおっしゃる方がほとんど。実は、私も居心地悪い派でしたが、正しいアライメントをカラダに覚え込ませて半年くらいで、気持ち悪い感じはなくなっていきました。さて、話をハムストリングに戻していきますね。何故、一番に脚を戻した時にハムストリングが床に着かないのでしょうか?それは、骨盤の前のラインが下に落ちてしまっているからなんです。 |
骨盤の前のラインって、なんでしょうか?
解説編③でもつかったこの図、で言うと、坐骨とは反対側の下前腸骨棘と上前腸骨棘のラインが脚を一番に戻す時に下に傾いてしまうのです。すると、腰の後ろがすこ~し反ったような感じになって、ハムストリングが後ろに引き延ばされた様な状態になっているのです。そこからハムストリングを緩やかに伸ばしていこうとするのはとっても大変。脚を一番に戻す時には、骨盤のラインは下に傾けず平らのまま、太ももの前の筋肉大腿四頭筋のテンションはゆるめて伸ばしていくことがポイント。四頭筋で一気に脚を伸ばそうとすると、太ももの後ろにあるハムストリングにもテンションがかかるので、腰の反りが少なかったとしても、やはりハムストリングが床から浮いてしまうのです。人間のカラダは、袋にたとえられることがあるのですが、脚の筋肉は楕円な筒状でもあります。大腿の筋肉は、全て骨盤から始まるので、骨盤の前から始まる筋肉、後ろから始まる筋肉、内側から始まる筋肉、外側=横から始まる筋肉があるのです。前から後ろから、内側から外側から走っている筋肉が脚を動かしていくのですが、一つの筋肉を余計に緊張させると、他の筋肉も緊張してきてしまうのです。レッスンで力を抜いて!!!と言われるのはそういう理由があるのです。5番にギュッと締めようとすると筋肉が緊張してしまう。すると骨盤のラインが傾いて、正確なポジションに入れないのですね。息を吐いて、もっと力を抜いて、と言われるのはそういう理由があるからなんです。重力が少ない床に寝てできてないものは、より重力がかかるフロアではよりやることが難しくなります。寝るとプリエは開くのに、立つとプリエが浅いのです、と言うお悩みを抱えていらっしゃる方が多いのですが、骨盤の前のラインを落とさずに、太ももの筋肉=大腿四頭筋のテンションを下げるように補正してあげると、ほとんどの方のプリエが深くなっていきます。自習でやる時は、床に寝た状態で、骨盤の前のラインを意識しながら脚を一番に戻していってみましょう。 |
バーレッスンでは最初、左手バー1番のプリエから始まりますね。この最初の段階で歪みを引き起こしてしまう危険性があるのです。プレパラシオンした瞬間、一度床を見てみましょう。この時、足部(足関節より先)はどんな風に見えていますか?A 足はほとんど見えない B 足のつま先のほんの半分くらい見えている C 足の半分ちかくが見えている歪みがなく正しく立てているのは、Aです。 初心者の場合は、Bの状態になっていたら大丈夫。 もし、Cの状態だったら、それは骨盤に歪みがでている証拠。レッスンでは1番から5番までのポジションをとても厳しく注意されます。これがバレエの基本だからですが、もう一つ、このポジションとプリエにターンアウトを育てていく要素があるからなのです。それなのにターンアウトを育てていくべきレッスンの最初で歪んでいたら、いつまでたっても理想のバレエボディーにはなっていきません。クラスレッスンでは膝と足の方向を揃えることが求められます。それは股関節からターンアウトするためで、解剖学的にもとても重要なポイントです。3歳~小学生低学年くらいの子供時代は、まず足をまっすぐに揃えるところから始めますが、少しずつ大きくなるとポジションの形がきれいであることが求められていきます。そうなると1番はそろっているか、4番5番になっているかと足を目で見て確認しようとするのですね。もしくは、5番ポジションに揃えてから脚とお尻をキュッキュッとはめ込んでいくような仕草をしていませんか?けれど、これらの動作は歪みのあるアライメントをつくってしまう原因になるのです。ポジションを確認する動作が何故捻れの原因になるのか、その理由は『関節』と関わりがあります。 |
足と膝と付け根の関節がまっすぐだから、アンドゥオールする
ダンスに限らず、スポーツや古典芸能の舞でも股関節の柔軟性は重要です。けれど、クラシックバレエのテクニックでは柔軟性だけが求められるだけではありません。前述のようなお稽古を続けていても自分では案外気づけていない。バーの初めははまだよくても、プチソーテになるとそのツケがやってきます。歪んだままシャンジュマンをしても足先がブラブラになってちゃんとバットリーにならないのです。では、ポジションの形が気になるあまり下をみて確認することが、何故軸のズレや歪みをもたらすのでしょうか? 股関節、膝関節、足関節の3つはバラバラにしない! 腰から下には大きく3つの関節があります。 股関節、膝関節、足関節。一番のポジションをとるとき、足の開きのことばかり考えて目で確認をするとイラストのよ うに軸がずれてしまいます。目線を戻すときに一本のラインに修正されていればいいのですが、そうでないことがとても多い。そしてポジションの度に 下を見て確認をしているとドンドン軸がずれていきます。また、きっちり5番にしたいために膝と臀部をキュキュキュッとポジションに入れていくのもよく見かけます。これも足、膝下、大腿、腰のカラダの3つのパーツをバラバラにはめ込んだような状態になってしまうので5番になっているようで、カラダの中に一本の軸が通っていないケースが多いです。足部から頭頂部までラインがまっすぐであり、足部から股関節までが捻れなく一本になって股関節から外旋(アンドゥオール)していくこと。 素早いアレグロがキ レイに決まるのも、ぶれない一本の軸があるからこそ。これがバレエのアプロンであり、そこから美しい踊りのラインが生まれていきます。「ポワントで立てな いのです…」という相談をいただきますが、軸がしっかりしているからこそポワントワークが可能なのです。ポジションの形にばかり気をとられないで、足部で床を踏む感覚がしっかりあるか、中心に軸が集まってくるのを感じられるか、自分のカラダともう一度向き合って見ましょう。☆ワンポイントアドバイス☆ まず腰から下はこの3つのポイントを意識しましょう◎1番2番…かかと 4番5番… 土踏まず(足の真ん中) ◎膝の外側の骨のでっぱり(腓骨頭)と内側のくぼみ ◎座骨 そして腰から上は◎後ろ頭 もしくは耳の後ろ ◎肩甲骨 ◎仙骨の一番高いところ これらを意識してカラダの中心に軸が集まるように意識してみてください。大切なのは形ではなく、ライン=軸。それがより完成されたアンドゥオールを作っていくポイントです。 |
スゴンにひらいている美しいライン。それがパッセの魅力ですよね。 でも『パッセの開きが左右で違うのです』と悩んでいる人が少なくありません。何故、パッセの開きに違いが出てしまうのでしょうか?その解説の前に大切なのは、以下二つの症状があるかどうかをチェックすることです。 『脊柱側湾症』と『股関節臼蓋不全』 これは、背骨にカーブがある、ヒップソケットが浅いと言う特徴で、カラダの個性です。この二つがある場合だと、どうしても左右のパッセの開きに差が出る場合があります。パッセの左右差が気になるお子さんの場合、簡単な検査で側湾の有無は判ります。 股関節痛の治療過程で臼蓋不全が考えられる場合は、画像診断をお勧めしています。脊柱側湾症は子供の頃の検診で発見されやすいのですが、臼蓋不全の場合は大人になってからの画像診断で判るケースも少なくありません。そして、これらのカラダの個性がある場合でも、”適切な訓練”を続けることでパッセにほとんど差が出ないようなラインをつくることができます。バレエは型を見せて評価する競技ではなく、音楽と共に踊るムーブメントなので、流れの中でバレエらしい美しいラインを磨いていくことはできるのです。それを可能にするのがバレエの基本である『アンドゥオール』でもあります。(あんじゅではその訓練をパーソナルセッションでおこなっています)それ以外で左右差が気になるのは何故でしょうか?先ず、パッセの形をよく見てみましょう。 片方の脚が横=スゴンに開かれている、この形だけをみるとどういうことが起きやすいでしょうか? そう、動かす脚をカラダの横に引いて持ってこようとするのです。 でも、パッセが横に開いているのはムーブメントの最終の形。そしてこのパッセからアティチュードやアラベスク、ディヴェロッペなどの次のパに移行していくのですよね。 そう、パッセは通過点の一つなのです。 通過点の一番最初はどこでしょうか?そうです”アテール”です。 ここにパッセの左右に差が出てしまいがちな要因が潜んでいます。その理由は、●●なのです。 |
アテールの両足が均等に踏めているか
パッセの開きに左右差が出てしまう要因は大きく2つがあります。①両脚が均等に踏めているか ②太ももの筋肉でパッセを開いていないか②の何故太ももの筋肉を使ってしまいやすいのか、の原因は解説⑦とほとんど同じなので、そちらを参考にしてください。 ここでは①の両足が均等に踏めていない、について解説します。 チェックポイント 右前5番からの前パッセが開かない人は、右足が踏めているか、左足5番からの前パッセが狭いと気になる人は、その逆、左足が均等に踏めているかを確認してみましょう。 人には利き手があるように、利き足があります。利き足の方は器用なために、床をちゃんと踏んでいなくても案外気がつけないと言うケースが少なくありません。バレエのポジションで立つのはとても難しいです。 つま先は外を向いているか、踵が内側か、膝は外を向いているか、などなどいろんなことを注意しなくてはいけないからです。そして脚を外に開いて立ちたいあまり、脚の筋肉を固めて立ってしまうケースが少なくありません。これは、本来年齢的にカラダが柔らかいはずの10歳前後の子供にも同じように見られます。実は、固めて立つクセがやがて、均等に両脚を踏めない状況をもたらす可能性が大きいのです。 バレエの姿勢の基本はアンドゥオールともう一つアプロンがあります。これを解剖学的に診ると、おへその下(丹田)を中心に上と下で引き合っていくベクトルから作られます。このアプロンがあるからこそ、バレエダンサーは力いっぱい踏み込まなくても軽々ジャンプを飛ぶことが出来るのです。そのためには、足の裏は緊張させずに、均等に床に乗っていることが大切。この時脚(=ジャンプ)は股関節からアンドゥオールしています。固めてたってパッセに持っていくと、脚の関節のつながりが失われてしまい、足部がきちんと床を踏めなくなってしまいます。結果、太ももの筋肉で横に開こうとしていくのです。太ももの大きな筋肉四頭筋にはアンドゥオールさせる働きはないため、パッセが横に開きません。そして開かせようと太ももとお尻の筋肉で横に横にと動かしてしまうと、最終的には骨盤の歪みを引き起こす要因となるのです。大切なのは、骨盤、大腿(太もも)、下腿(膝下)、足部(くるぶしから先)の関節が一つにつながっていて、股関節からアンドゥオールして言うことです。その状態から1番、5番のポジションに立っていると両足の足部は均等に床を踏めるようになります。 |