症例ケースで、ジュニアのカエル・開脚・スプリッツ改善を取り上げ、実際にこれらのストレッチができない原因は、股関節が硬い、可動域が少ないからではなく、頭部や両肩などにゆがみにあり、そのままレッスンを続けてもテクニックが向上しない恐れがあると紹介しましたが、実際テクニックが向上しないのは、どういうことなのかを少し解説します。
症例写真の代わりにこちらの写真で解説します。
上は現在イングリッシュナショナルバレエ団に所属されている日本人ダンサーさん。
しっかりとアンドゥオールしているプリエは、右のようなしっかりした姿勢から作られていています。
バー、センターのステップも海外のカンパニーに入れるのは納得と思うほどクオリティが高い。
一方、下段の写真はサマースクールのためのオーディションビデオから切り取ったもの。
一目みて気になるのが、両肩のライン、そして頭部とのズレ。
バレエで求められる姿勢とは違っているため、プリエもアンドゥオールしているとは言えません。
海外のジュニアでも姿勢が整っていないとこのようなことが起きるのです。
これは少し極端な姿勢の例ですが、
崩れた姿勢でいる生徒さんが沢山いる
のです。
両肩の高さに差があったり、頭部の傾きがいつまでも直らない、などの状態で沢山レッスンをしたりワークショップを受けても、基本の姿勢が崩れているためやりたいことにつながりません。
ヴァリエーションをいくら練習しても、コンクールの予選を通過することは難しいでしょう。
カラダをゆがめて立ったりストレッチをしたり、力でしめて5番に入れていてもアンドゥオールは完成しません。
人間の骨格は一足飛びに変わらないのです。
ではどうするか?
それがずっと言い続けている『骨で踊る』。
骨格を無視せず骨に素直に開くところからアンドゥオールを育てていくことなのです。
カラダ柔らかいうち、小学生低学年であればあるほど、ゆがみの修正はしやすい。
けれど、10代半ば、留学したい、カンパニーのオーディションを受けたい歳頃になって修正したいと来院するジュニアが増えています。そこまで成長している場合、本人の意識や視点を転換することが大きなポイントになります。
ポワントをはいて踏ん張って1番・5番に立っているんじゃないか?
右と左で感覚が同じじゃない、何かこれはおかしいんじゃないか?
と気づくことが先ず大切。そこからがスタートになります。
クラシックバレエにおけるカラダの使い方は、人間の自然なカラダの使い方とは全く違うため、意識して変えていくことが必要
です。
そのためには、自分で気づいて変えていこうとする力が求められます。
【院長プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
○毎月一回フロアバレエクラス開催中
カラダが引き上がって脚が軽くなっていきます。一緒に踊ってみましょう~
○トレーニングメニュー【ターンアウトアップ】と【バレエの解剖学】から開脚の本ができました。
『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○踊りやすい、動きやすいカラダについて解剖学の外部講師活動もおこなっています。(活動レポート)