踊るカラダの解剖学、膝を取りあげています。
前のコラムで膝にも少し回旋運動が起きると紹介しました。今回は、そのことについて少し突っ込んて分解、解説をしていきます。
内容的にはちょっと複雑に感じるかもしれませんが、膝をすっきり伸ばしたい、軟らかいプリエをしたい人必見の内容です。
<目次>
膝下の外旋、内旋とその角度
膝下の外旋運動が起きる条件とは
解剖学的に分解したプリエの動きとは
踊るカラダの解剖学シリーズ 膝
人のカラダはには関節があって、肘下や膝下を内側や外側に回旋させることができます。
脚よりも腕の方が分かりやすいと思います。
これと似たような運動が、膝下にも起きるのですが、腕との違いがあります。
それは、1つは動く角度がわずかだということ。
外旋で7°~23°
内旋で5°~19.8°
※角度に幅があるのは個人差があるからです
もう一つは、足底が床に着いている状態ではなく、膝をエアーで伸ばす状態で起きるということです。
膝の外旋運動はスクリューホームムーブメント(SHM)と言って
膝が完全に伸びきる時に、膝の関節を安定化させるため膝下の骨(脛骨)が外旋する運動が入ることを指します。
要注意な点はこれです。
この膝下の外旋運動は、主に足底が床に着いていない状態で発生することが多く、足底が床に着いている立位の状態では、逆に内旋運動の方が見られやすいという特徴があります。
※足を床につけないで膝下(脛骨)を外旋させる動きだけをおこなっています。思ったより動いていないのは、股関節の外旋運動とは切り分けておこなっているからです
この膝下(脛骨)の内旋運動は、あんじゅがずっと避けた方がいいとお伝えている「膝押し」の状態のことを指します。
ここで特に着目していただきたいのは、膝頭(膝のお皿・膝蓋骨)が外を向く、という表現はどこにも出てこないということです。
あくまで外旋するのは、膝下の骨である脛骨です。
膝というと=膝のお皿・膝蓋骨の周りと意識されやすいのが一般的です。レッスンでもよく「お膝の向きを外に向けましょう」と言われることがあります。
けれど、実際には
・膝頭自体の構造に斜め外に向く運動を起こさせる筋肉や構造はない
・大腿骨と膝下の骨の組み合わせと上下の骨に走っている筋肉、更に骨盤にある筋肉の働きが合わさって膝頭が斜め外に向かう運動を起こしている
ということです。
特にプリエという動きを解剖的に分解するとこのようになります。
股関節の外旋+股関節の屈曲
大腿部の外転
膝下の外旋
足部の外転
これらが組み合わさっている運動になります。(膝シリーズⅤではさらに詳しく解剖しています)
膝頭・膝蓋骨を外に向ける意識のままで踊り続けることはカラダに備わっている本来の動きではないため、余計な負担が膝周りの筋肉全体に加わって、膝に関わる筋肉が硬くなってしまいます。
更に、本来外に出っぱっている膝のお皿(膝蓋骨)を平らにして膝が伸びているようにしようと膝押しをすると、逆に内旋運動をおこすことになり、一番大切なポスチャー(姿勢)を崩すことになっていきます。
そうなると、膝を伸ばすだけでなく、膝を曲げる・折り畳むこともやりにくくなる。
これが、多くの方が悩んでいる「膝が伸びない」「グランプリエができない」「開脚で膝が伸びない」状態を招いてしまうのです。
では、どうやったら、膝の曲げ伸ばしが楽になって、少しでも膝お皿が平らに見え、プリエで膝が斜め外に向いているように動けるのか?
最大関心事のこの点について、次の回で紹介しますね。
>>>踊るカラダの解剖学 膝 Ⅰ 膝の前の構造はどうなっているの?
>>>踊るカラダの解剖学 膝 Ⅱ 膝の運動は膝裏の構造と関係あり
>>>踊るカラダの解剖学 膝 Ⅳ 膝の内側と外側の世界を知ろう
膝回りが硬くなっている場合のオススメのメニューはこちら
痛みがある場合 >>>バレエ鍼灸
膝の曲げ伸ばしがうまくいかないけれど痛みはない場合 >>>バレエ整体