モダンな作品だと、クラシック特有のリフトではないものがいっぱいあります。
振付家との仕事では、いろいろな動きをやって試行錯誤するものも多く、その後に、カラダのコーディネーションがうまくいかない、ということがおきてきます。
腰のくぼみが痛くて、腰が伸びない、と来院されたMさん。他に、同じ側の首にも強いつっぱりが出ていました。
左軸のドゥヴァン、スゴンと右軸のデリエールがうまくいかない原因は、脊柱起立筋のバランスの崩れにありました。
診てみると、腰椎と頚椎に軽い側弯が出ています。
原因は一過性の側弯
脊柱起立筋の筋緊張が原因でした
脊柱起立筋は、骨盤から肩、首の上まで伸びる長〜い筋肉で、おおよそ3層に分かれています。
この脊柱起立筋の上に、広背筋や菱形筋、僧帽筋などの背中の筋肉がのっているのです。
一番下の深層は、細かく脊柱に張り巡らされているとでもいうか、煮魚の背骨の周りのある身と似ている構造担っています。
トルソーを右に左に回旋させるには、この背骨につながっている筋肉も使われているのですが、筋肉の特性から言うと、より外側にある大きな筋肉の方が力が強いのです。
そのため、外側ばかりが動いてしまうと、トルソーの微妙な捻りはつくれないどころか、外側の大きな筋肉に引っ張られて、脊柱そのものが所々左に右にずれたりする。
これが一過性の側弯です。
こうなるといつも床を踏んでいる土台の足側の骨盤にも、ズレが生じていきやすい。
Mさんの場合は、腰のくぼみに痛みを感じてしましたが、骨盤にも左右差が出ていました。
このようなケースでは、痛みのある箇所以外、脊柱起立筋のバランスを整える必要があります。
脊柱へのアプローチとしては、カイロプラクティックが有名ですが、お灸と鍼によるバレエ鍼灸も大きな効果を発揮します。
同じ脊柱起立筋の症状でも、ダンスの種類や年齢によって別のアプローチを加えた方が良い場合があります。
いずれにせよ、バレエ、ダンスでは、動きの中心となる脊柱のバランスが大切です。腰痛、首の痛みの陰にも脊柱起立筋のアンバランスが隠れています。
女性の場合は、生理周期によって靭帯ば緩みやすくなるため、常にバランスを整えておくことが大切です。
>>>電話:090-9362-0080
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
日本バレエワークアウト協会理事
芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange