ダンスの中でも、特にコンテンポラリーを踊るダンサーは、一種独特の柔軟性があると感じます。
バレエダンサーも柔らかいのは当然なのですが、それとは少し違う性質があると診ています。レッスン自体はクラシックの基礎レッスンが土台なのですが、その先の作品を踊るについて、コンテンポラリー独特のムーブメントを体現するのに適したカラダをしているとつくづく感じるのです。
その独特の柔軟性が、作品を更に興味深く面白いものにしてくれるのですが、ダンサーのカラダにかかる負担は、振り付けが複雑になればなるほど、大きくなる傾向にあります。
床とのコンタクトが圧倒的に多い
コンテンポラリーダンスでは、床とのコンタクトが多いです。
・深いプリエからの大きなジャンプ
・床に沈み込んでから回転
・深く膝を折って左右前後に移動
など
そのコンタクト自体もスピードやパワーがクラシックバレエよりも大きいため、こと、膝にかかる負担は増してきます。
しかも、ダンサーのカラダ自体が柔らかいので、その衝撃がケガに繋がることが多くなります。
筋肉がしっかり付いているタイプのダンサーだとのみこめる負荷も、筋肉も柔らかいタイプだと、靱帯や腱に負荷がかかりすぎ、炎症をおこしやすくなります。
膝痛を抱えるタイプのダンサーは、膝蓋骨の動きが緩いタイプに多く、このタイプのダンサーは、膝蓋骨をグッと上に引き上げておける筋力を常に保っておくことが必要です。
特に女性の場合は、ホルモンのバランスによって靱帯や腱が緩みやすい時期があります。
生理前後に不調になる傾向のある人は、自分の生理周期を把握しておくことも大切です。
とは言っても、炎症がある膝は放っておいても変わらないし、抗炎症剤を飲んでも、湿布をしても治らないケースもあります。
このような、膝の炎症には、バレエ鍼灸で行なっている施灸がとても高い効果を出してくれます。
1、2週間しても治らない炎症であれば、早めに対処しておくことがオススメです。
膝関節は 、曲げ伸ばしをスムーズにさせるため、靱帯や腱が複雑に交差しています。
痛いままカバーしながら踊っていると、膝上の筋肉だけでなく膝下の筋肉にも負荷がかかり、下腿全体の動きにズレが出始めます。
動きのズレがあるまま踊っていると、体重を支えれらなくなるため、更に膝への負担が増えていきます。
又、膝ではなく、他の部位の故障が引き金となって、膝関節に負担がかかってしまう場合もあります。
Aさんの場合は、内側膝蓋支帯に炎症が出ていました。
その膝をかばうため、反対側の大腿に負担がかかり、ディヴェロペでつるような状態にもなっていました。
膝にでていた炎症は、施灸によって抑え、大腿部に出ていた硬結を緩めると格段に脚はあげやすくなりました。
今回のケースのポイントは、以前おった足部の骨折を報告してくれていたので、その部分にも治療が加えられたことです。
足部は、カラダを支える大切な土台で、ダンサーには中足骨、楔状骨、舟状骨、三角骨などのケガが少なくありません。
年代が若いと、軽く考えがちな過去のケガも、年を経てそれより上の関節に負荷をかけてしまい、踊りづらくなってしまったケースも診ています。
膝関節は、ショックアブゾーバーのような働きをしてくれるからこそ、ジャンプも回転も可能なのです。膝が緩いタイプ、又、過去、膝から下の関節を痛めた経験のあるダンサーは、自分のカラダの調子をみながら適切なケアや治療をすることが必要です。
>>>電話:090-9362-0080
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
日本バレエワークアウト協会理事
芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange