バレエ・ダンスのケガで多い膝痛をみています。
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二回目は、人のカラダの膝という部分の構造をみながら、バレエ・ダンスを踊るという視点でもみていきます。
【Contents】
膝は曲がる動作がとても多いため、曲げる際の負担を吸収するように沢山の組織が関わっています。
下に、その筋肉と動きを大まかに紹介します。図と併せて見てくださいね。
膝に関わる筋肉
四頭筋 | 股関節は曲げる | 膝下は伸ばす |
外側ハムストリング | 股関節は後ろに伸ばす | 膝下は曲げてターンアウトさせる |
内転筋群 | 大腿(太もも)を内側に寄せる | 大腿(太もも)を内側に寄せる |
縫工筋 | 股関節をターンアウトさせる | 膝下は曲げる |
※これは一部です
膝の動きを支える組織 | 半月板、前十字靱帯、後十字靱帯、内側外側側副靱帯、膝蓋靱帯、腸徑靱帯 |
このほかにも沢山あるのですがこれらの筋肉組織が関わっている膝の運動、股関節の運動とも連動していています。
膝単体でバレエの動きをするのではないのですが、膝は横!という意識がとても強く、それがねじれを生じさせる要因ともなっています。
最初のサイン | 痛みが消えにくくなる |
次のサイン | 痛みを抱えて続けると、別のところが痛くなる痛みの連鎖が始まってくる↓右が痛かったなら、左の腰が重くなるなど別の部位に負担がいく |
その行き着く先 | 膝周囲の筋肉が耐えかね、靱帯や半月板に影響が出てくる 靱帯の損傷や半月板の割れを引き起こしかねません。 |
プロとして沢山のダンサーを診てきた経験から、今の状態を続けるとこうなっていくだろうという先も見えてきます。
治療の際には、今どの段階なのか、そのことについてお話しています。
痛みの段階でいくと、二つ目のステージの状態は人によって期間が異なり、長くつづいたりするケースもあります。
痛みが長引けば長引くほど、膝に負担がかかっているということでもあり、最終的に靱帯をきったり、半月板を痛めたりすることに近づいてしまうのです。
一度ハサミで切った布が元の布に戻らない様に、一端カラダの組織にメスをいれると、その後、元の組織に戻ることはありません。
だからこそ、痛みを取る治療、筋肉を適度に柔らかくするメンテナンスが大切なのです。
1ミリでも外へターンアウトしたい、の思いが筋肉を硬くする。
股関節の可動域があっても、四頭筋を強く働かせてしまっていると、膝に負担がかかってしまいます。
この状態で、ジャンプから着地すると一気に膝への負担は増してしまいます。
四頭筋には、股関節をターンアウト=アンドゥオールさせる働きはないのでできるなら使いたくない。
でもアンドゥオールしたいと、無理に開こうとすると、結果一番使いたくない四頭筋をつかってしまうのです。
太ももから回すという意識でいると、四頭筋はどんどん硬くなっていきます。
大切なのは、一部ではなく、カラダ全体でアンドゥオールすること。
最終的には、これが重要なのです。
◇治療でのポイント
まず、一番痛みがおきている部位を中心に、膝に関わる筋肉をゆるめていきます。
更に大切なのは、骨盤周囲筋をゆるめること。
治療のポイントは、痛みのある膝だけを治すのではない、ということです。
先ほども書きましたが、大抵痛みをかかえている時、その上か、又下に問題がある場合が多く、膝だけみていても、実際に踊りやレッスンに戻った時に、治ってなかったということが起きるのです。
曲げても伸ばしていても痛みが強い場合にはしばらくコンスタントに通う必要があります。
これは、痛みの連鎖が他に及んでいるためで、この連鎖のサイクルが落ちついてくれば、レッスンやスケジュールを考えて様子をみながらの治療にうつります。
その後、炎症もとれ、周囲の組織や部位にもゆるみがでてくるようになったら、個別に使い方のアドバイスなどを加えたメンテナンスに移行、痛みをおこさないラインをカラダにしみこませていく、これも大切なポイントです。
『メイク道具買ったんでんすよ〜膝が痛かったからもう舞台出ないだろうって、断捨離流行ってた時に、旦那と一緒にバンバン捨てちゃってたんですよ〜
もういっぺん出られるって思うと嬉しくていろいろ買っちゃいました。
受けた後はスゴく調子いいんですよ。カラダ軽くて。舞台前に又よろしくお願いします。』R・Nさん
元々関節が柔らかく、膝の靭帯が緩みやすいタイプのRさま。
以前にオペも経験されていました。
プリエをすると痛みがでる状態から、治療メンテナンスで、無事発表会に参加されました。
『膝が痛くて、もう骨がどうにかなっちゃったのかと心配で、それならバレエは止めた方がいいのかなと思ってたんですが、そうじゃなかったんですね。ホットしました。』
Kさん
膝が痛い=骨の異常、関節の異常、と感じることも少なくありません。
画像審査をしても、痛みの原因が分からない場合がとても多いのですが、バレエの運動学、解剖学で診ると、アンドゥオールがうまくできていないためにねじれがおきているケースがとても多いのです。
筋肉の緊張、硬いところをゆるめていくことに加えて、運動学的な視点に基づいたセラピーがとても重要になってきます。
膝の痛み、プリエやジャンプの着地で感じる膝の違和感が気になる方はご相談ください。
膝痛の治療は >>>バレエ鍼灸
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