2016年夏、アメリカからいらしたバレエジュニアNさん。
2年ぶりの里帰りに合わせてパーソナルセッションターンアウトアップを受けに来てくれました。
日米の血をひく彼女、バレエでは理想とされるX脚で、股関節の可動域も充分あり、一般的な日本人より開きやすいカラダをしているのに、ターンアウトに左右差を感じ、脚が上がりにくい、と言うのです。
二年前、初めて彼女を診た際、私が驚いたのは、脚を一本に揃うラインにもっていくと、余りにも簡単にターンアウトしてしまったことでした。
これは、施術者である私が、カラダの角度を診て、大腿部と下腿部と足部がスッと一本になるラインに整え、それからアンドゥオールに開いてもらったからでもありますが、日本人のジュニアの場合だと『開く方向に持っていこうとするとぐっとでてくる抵抗感』があるのですが、彼女には変な抵抗感は全くなく、スルッと簡単にひらいてしまったのです。
欧米人の血がはいっている彼女、これが骨格による違いなのだと、痛感させられました。
その後2年経った今年、ほっそりとしたラインに女性らしさが出てきて、相変わらずのX脚なのですが、若干脚にお肉がついてきており、それが自分でもとても気になるようでした。
バレエでは美しいとされるX脚。実は一つ難しい点があります。それは
何気なく立っていても、膝が過伸展してしまい下腿部の腓腹筋が後ろに押しだされる状態になりやすい
美しいとされる反面コントロールが大変X脚。軸がとりづらいという原因は、やはり【膝押し】でした。
見た目、膝の後ろが伸びているので、きれいに見えますが、軸として考えると後ろに押した分、立ちにくくなり、より後ろに伸びやすいX脚だと更に軸がとりにくくなるのです。
本人は押しているつもりはないのですが、カラダの構造からもどうしても押してしまいやすいのがX脚。
今回は、膝のお皿を押さずに上に上げるエクササイズを細かく解説しながらやることに時間をかけました。自分の意志で脚を一本に揃える感覚を身につけることがとても大切だからです。
上で述べたスルッと開くライン、施術者ではなく踊り手自身ができるようにならない限り、踊れるカラダにはなりません。
バレエでは常にプリエがあり、そこから脚が伸び、いろんなパにつながっていきます。
それらすべてのムーブメントにおいて、自らのカラダに呼びかけてコントロールしながら動かせるようになり、いずれは、コントロール自体が自然にできるようになる必要があります。
これらの過程には、運動神経よりも動きを調整する感覚神経が必要なのですが、若いうちはどうしても動く=運動神経になりやすい、大雑把な動きになりやすく、結果つま先も伸びきらない。お膝のお皿アップをして、更にそこからポワントのラインを育てるのは時間がかかります。
膝のお皿を上げるためには脚だけでは完成しません。
腕が体幹とつながっている安定した上半身のスクエア
これがあるからこそ軸脚が更に使えるようになるのです。そのために、腕のトレーニングも加えます。
脚も腕も、トレーニングの指標となるのは、前からお話ししている【骨】です。どの骨のどこを意識して、どの骨と繋げるか、これがポイントです。
今回はこれらのトレーニングを3回のセッションで行いましたが、最後、ここまで持ってくることができました。脚のラインを揃えてお皿を押さずにしっかり軸に立てると、真ん中に集まり、5番も変化します。
5番が安定すること=軸脚がしっかり立てること、になります。
X脚の改善には