前回、膝の内側と外側の世界を紹介した「踊るカラダの解剖学―膝Ⅳ」。
今回は、プリエという動き(バレエではパといいますが)を解剖学的に分解してみますね。
上のイラストは、スタートが2番のポジションになっています。
そして、2番でのプリエをみると
股関節 ― 曲げる(屈曲)
+ 外に向ける(外転)
+ 外に回旋する(外旋)
膝関節 ー 曲げる(屈曲)
となります。
ここまででもかなり複雑な関節の動きがありますよね。
参考にした本では、股関節と膝関節までの部分しか書かれていません。
一般の解剖学で考えるとこうなります。けれど、プリエ、グランプリエにはもっといろいろな部分が関わっています。それを加えるとこうなります。
足関節 ― 曲げる(背屈=フレックス)
趾節(足部とあしゆびの間の)関節 ― 足部を外に向ける(外転)
上の図でピンクで書いてある足部と趾節関節のところはあんじゅが加えたものです。
ここまで細かい関節の動きが関わっているプリエ。
そしてその関節の動き、曲げる・外に向ける、回す、フレックスするために関わる筋肉は、それこそ山のようにあるのです。
例えば、股関節・大腿部関係だけでも5つあります。
それらの筋肉を意識しながらアンシェヌマンを続ける、と考えたら現実的にどうですか?できそうですか?
頭の中は筋肉や関節でいっぱいになって動けなくなりそうではありませんか?
これが、解剖学的分析だけでは踊り続けられない、ということです。
答えはこれです。
立つ姿勢を見直すこと
特に6番。パラレルな足部で、後ろ体重にならず、骨盤が前にいったり後ろにいったりしていなく、背中や肩が前に傾いたりせず、頭が肩の上にすっきり乗っている姿勢。
つまり、開脚本(骨盤が立てばあなたの開脚は変わる)でも紹介しているように、前にも後ろにも斜めにも横にもずれていないニュートラルなポジション(中間位)がとても大切だと言うことなのです。
フロアバレエ(barre au sol ) バー・アスティエを勉強して感じたことは、すべてのアンシェヌマンは先生方が生徒のカラダをアンドゥオールさせるために組んでいるものなのだ、ということです。
この記事にもあるように、一回のトレーニングメニューで苦手を克服したジュニアは、姿勢が安定していたからそうなった訳です。
ではこんな疑問が湧いてきますよね。解剖学って何?って。
解剖学に「はまる」とあそこの筋肉、ここは何筋と面白くて仕方ないという方がいます。
名前を知っていることは、存在を知っていることなので、とっても役に立つのです。
スマホで検索する時に、名前を知らなくても画像で調べられるという時代だけれど、自分で「そこ」にあると知らないものは使えなかったりします。
例えば
プリエでどうしても膝が前に出てしまう、こういう時にどこが動きの邪魔になっているか?を知る、見分けるのに解剖学はとても役に立つのです。
分かりやすい方法は、触れてみること。
そして、皆さん案外自分のカラダに触れていない。
例えば、
『足首をしっかり立ててルルヴェして』と言われても、足首の存在を感じられないとふくらはぎに余計な力が入りやすいです。
自分の手で触ることは、そこに存在していることを確認することにつながります。
そうやって触れていくと全部固いと思っていたところに柔らかい部分があったりするのが分かってきます。
そうやって自分のカラダに気づくことが、案外ストレッチの効果をあげるポイントになってきます。