もう一歩が足りないを力で押すから痛みにつながるのです。
種子骨とは、足の裏にあって、第一趾(母趾)を支えてくれる大事な骨です。ダンサーの中にはこの種子骨に痛みを訴えたり、場合によっては骨折してしまうケースもあります。
足の裏にあるため、痛みがあると歩きにくくなり、重心をずらして歩く癖がつき、足部より上のバランスが崩れてきたりする、厄介な症状。 痛みが最盛期の時は、歩く際にテーピングやサポーターをする必要があります。
けれど踊りとなるとどうしても痛みが繰り返しやすい。
治療は、種子骨周りに出る炎症をお灸と鍼でこまめに取り除く必要があります。
後はバランスが崩れている足部から上の筋肉を緩めることも必要です。
症状の程度によって、数回で済む場合もありますが、骨折だった場合はどうしても時間がかかります。
この症状について、治療以外に必要なことは、くせがついてしまった歩き方やルルベの修正です。
痛みが薄れてきても、同じ歩き方やルルベをしていると又同じ症状が出てきやすいからです。
特にルルベは、どうしてもハイルルベにしなくてはと、足指の力で押してしまいやすい。
そうなると「上がりたい気持ち」に反して甲は出ないし、膝も固まりやすい=ちゃんと上がれないため「もう一歩」と思って更に押すことになる訳です。(写真左)
これを解決するのは、いつも言うように上半身。
腕と体幹をつなげることで、上体をフワッと持ち上げやすくなる仕組みが生まれます。
その上でルルベをすると、足指だけで踏ん張っているのと違ってより高い位置に上がれるし、ルルベしているのに安定している、という状態にもなれます。
判りやすいように線を引いてみました。修正後(右)、甲がほぼ垂直に立っています。
このような足で立てていれば、カラダ全体で踊れるようになるので、痛みはぶりかえさずに済むのです。
種子骨の痛みがある人は、まずはバレエ鍼灸で痛みをとりましょう。

投稿者プロフィール
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市川淑宥子(ようこ)バレエ治療院あんじゅ院長
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一般社団法人日本バレエワークアウト協会理事
バレエ解剖学講師/バー・アスティエ講師
2008年にこれまでになかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をバレエ鍼灸と命名、バレエ治療院あんじゅを四ッ谷にオープン。以来、国内外のダンサーの治療に当たる。
2013年NPO法人バー・アスティエ協会の講師資格を取得、2014年以降バレエの解剖学運動学に基づいたトレーニングメニューやフロアバレエクラスをスタート。
2019年『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』を出版し、バレエ・ダンス・表現スポーツに欠かせない開脚エクササイズを紹介している。