腰が痛いと来院したYさん。
アラベスクやデリエールのカンブレで腰が痛くなるのだそうです。
意識しないでも後ろに反りやすいので、肋骨が開いて腕と体幹がつながりにくくなりやすい
デリエールでぐっと前に押し出すように背中を反らせるタイプです。
このタイプは、結果、腰や背中の筋肉に負担がかかりやすいのです。
ベッドの上で背屈を見せてもらうと「ぐにゅ」というような感じで後ろに反れてしまいます。
彼女のようなケースは、全体的にカラダが柔らかいタイプに多いのですが、柔軟性がありすぎる場合、きちんとカラダを支えるコントロール力を身につけないと腰や股関節を痛めやすい特徴があります。
今回の腰痛には、腸骨稜や脊柱、腰の筋膜に炎症らしきものはありませんでした。
このようなケースだとバレエ整体で施術していくことができます。同じように背中が柔らかいタイプでも炎症が出ているケースもあります。
そちらの場合は、炎症を抑えることが優先になるので、バレエ鍼灸の対象になります。
Yさんのケースは整体でおこないました。
腰痛だと、背臥位からおこなうと思われがちですが、最初のターゲットは腰部ではありません。
遠隔部から施術するのがバレエ整体の定番になっています。(ケースにもよりますが) まず足指のコリをほぐしていくこと、これが結構重要なポイントです。
つま先を伸ばす動きが多いバレエでは、どうしてもあし趾には、負担がかかります。
実際には、大切なのは、足底全体なのですが、そのコントロールを身につける間には、甲側のあし趾に力が入りやすい。そのため、多くの人のゆびはつっぱってしまっています。
この状態でいると、膝や股関節も固まりやすくなってきます。
なので、あし趾を含めた足部へのアプローチはとても重要なのです。
足部がほぐれてくると膝や股関節にも緩みがでてくるので、ようやく骨盤周囲を含め、腰部の施術へと進むことができるのです。
場合によっては、腰部の前に腕と背中を施術しないとほぐれないケースも少なくなく、Yさんも肩甲骨と上腕骨のつながりが悪くなっていました。
これは先程言った背中が柔らかいタイプに少なくないんですね。
体幹を支えていなくても本来の柔らかさだけでそれてしまうからこそ、支えていない肩甲骨と上腕骨がしっかり伸びきらならなくなるからです。
ここまでくれば、腰に直接施術しなくても既に腰や背中は充分ほぐれる手前になってくれています。
背臥位で、施術するのも末端から始めることがほとんど。
この辺が、一般の整体とは違うところだろうと思います。
腰部や背中は踊りではとても大切かつ負担がかかりやすい部位ですが、腰部背部を中心に施術したとしても、最後床に立った時に、直ぐ踊れる状況にはならないことがほとんどです。
何故なら、全てのステップは、つま先から頭部まで全体のコーディネーションとコントロールが大切だからです。
背部の後、横臥位の施術を加えてアラベスク、アティチュードの調整をおこないます。
ここまでくれば、腰の痛みはほとんど出てません。(ただし、これができるのも炎症がないからこそ)仕上げにアロマトリートメントをいれ、筋肉の線維を押しつぶさないようになめらかにしていきます。
ラストの確認で、脚のあがり具合をみますが、ほぼ12時のラインにまであがることができていました。
そこまであげられるんだ??とびっくりされることもありますが、それは逆にコントロールさえ身につければ、負担なくあがるということなんです。
プロ中のプロのダンサーさんは、「ウンウン、この感じだったわ〜」と感覚を確認していることも少なくありません。
脚の挙上角度は骨格の個性によって決まるので180度いってなければダメということではなく、その人の最大の角度までいくことがポイント。
それは=腰部、背部、股関節などに負担がかかっていないからそこまでいける、ということで、それはつまり、踊る準備ができているカラダに戻れたかどうかをみているのです。
背中が柔らかくて腰にいつも負担を感じている人はこちらへお問い合わせください。
>>>電話:090-9362-0080
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
日本バレエワークアウト協会理事
芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange