5歳からずっと踊ってきたMさん。
バレエ課のある大学に通っています。次の舞台でフロリナのグランを踊るためリハーサルが増え、ふくらはぎがパンパンで痛くなったそうです。
ポワントでのリハーサルが増えるといつもより負担もかかるので足がはってくるのは解かりますが、ふくらはぎだけでなく、膝より上の前もももパンパンにはっています。
彼女は股関節の可動域は十分にあるタイプなので、ターンアウトはしやすいはずなのですが、背中が柔らかすぎるため、上半身と下半身に捻れが出ていたのです。
このようなケースはかなり多く、痛みは下半身のふくらはぎに出ているのですが、その原因は上半身にあるのです。
そのため、治療においてもふくらはぎだけではなく、首から背中、そして骨盤周囲も診ることが大切です。
ケガによる痛みではないケースはバレエ整体がオススメ
彼女のケースは、ケガによる痛みではなかったのでバレエ整体で施術を行いました。
パンパンにはっている脚を緩めるには骨盤と肩のラインを整えることがポイントです。
足の趾もほぐしていきます。あしゆびに力が入りすぎるとそれもふくらはぎをパンパンにさせることにつながるからです。
フロリナの前に二回施術をおこない、舞台は無事終わったそうでしたが、翌年にも同じ5月に再び来院されました。
そのときの症状は、背中に出ていたのです。
学年が上に上がり、教授法のクラスが増え、立ちっぱなしが増えたせいか、左肩が内側に入ってなかなかコントロールしづらく肩がなるようになってきたと言います。
前年にみたときよりも、背中のラインにズレが大きく出ていて、左の肩甲骨が脊柱側によっていました。このような状態はバレエ整体よりバレエ鍼灸が効果があります。
背中の筋肉は何層にも重なっているので、硬くなっている時には動きの調整だけでは直ぐ戻ってしまいやすいからです。
鍼灸は皮下に治療刺激を届けることができる唯一の施術なので、深層筋や深層筋の筋膜にアプローチしやすいからです。
やはり骨盤周囲の筋肉も左右差がでていました。バレエ鍼灸は、鍼とお灸が皮下にアプローチすることができるため、深いところでガチガチになっているコリをほぐすのに最適なのでうす。背骨の脇にあるコリと骨盤の左右差が整ってくると左の肩がグッと外に開いてきました。
バレエ整体とバレエ鍼灸、どちらが適しているのか分からないという声があります。その場合の目安をお話しておきます。
・ケガなどによる痛みがある
・ヒリヒリする炎症がある
・鈍い腰痛など
・以前捻挫や肉離れをしたことがある
これらはバレエ鍼灸の方が治りが早いです。
では、整体はどうかというと
・ストレッチをしても伸びが違う
・左右の肩のラインが揃いにくい
・骨盤の左右差が気になって自分でも修正し
ようとするけれど元に戻りやすい
ラインのズレを修正するのはバレエ整体の方がオススメです。
どちらがいいか分からない場合は、その都度ご相談ください。
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
日本バレエワークアウト協会理事
芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange