同じ3,4歳から始めているのに、どうしてポワントで苦労する子とそうでない子がいるのでしょうか?
一生懸命がんばっているのに、うまく立てないのは悲しいですね。
では、甲があれば立てるんでしょうか?残念ながら、そうではありません。
では、バレエで大切とされる甲は、どうやって育っていくのでしょうか?
一つは足の型が関係しています。
◎エジプト型◎ギリシャ型◎スクウェア型と分けられますが、一番立ちやすいはずのスクウェア型の人にゆび立ちが少なくないのが現状です。
確かに、足ゆびが強いことはポワントをはきこなす利点になりますが、ゆび立ちは最終的になめらかなポワントワークにはつながりません。足底部の筋肉をしっかり使っているからこそプロのダンサーのように”ふっくら”として肉厚な足になります。そういう足になっていく過程で甲が育つのです。
タオルギャザーやセラバンド、甲出しスティックといろいろご質問いただきます。もちろんそれらのエクササイズ自体はきちんとやれば効果があります。けれど、足ゆびのちからだけでおこなうと、
『浮きゆび』や
『ハンマートゥ』になり逆に薄い足をつくる原因にもなりかねません。下手をすると、アキレス腱が痛くなったり、外反母趾、
外脛骨、
三角骨になってしまうケースも少なくありません。

バレエ治療院で何人ものジュニアを診てきた結果、一番重要なのが、骨で支える姿勢であると考えています。というのも、足底を含めカラダの筋肉は触っただけで簡単にわかるものではないからです。けれど、中足骨やかかとの骨、外側内側のくるぶしや、アーチを構成する骨は、触ることができるからです。
診ていると甲を出そうとして全然違う場所を前に押し出そうとしてるジュニアは少なくありません。
甲を出したいと思うなら、まず、自分の足をじっくり観察してみましょう。
そしてそれぞれの骨を触ってみましょう。
ドゥミやポワントを、カラダを支える自分の足ともっと仲良くなりましょうね!

トレーニングメーニュー【ターンアウトアップ】でよくおこなうエクササイズは、名付けて『椅子ルルヴェ』です。椅子に座って、アテール・ドゥミをするだけ、なのですが、きちんとドゥミに乗れていないと足が簡単に床から外れてしまいます。しっかり床をつかんでルルヴェすると膝を抱えて持ち上げようとしても簡単には床から外せなくなるのです。
これは、ポワントをはいても同じことができます。
ケガにならないポワントワーク。
もったりして太いふくらはぎにならないポワントワーク。
ポワントや甲について悩んでいるバレエジュニアの問題を解消していきます。

投稿者プロフィール
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市川 淑宥子(ようこ)バレエ治療院あんじゅ院長
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一般社団法人日本バレエワークアウト協会理事
バレエ解剖学講師/バー・アスティエ講師
2008年にこれまでになかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をバレエ鍼灸と命名、バレエ治療院あんじゅを四ッ谷にオープン。以来、国内外のダンサーの治療に当たる。
2013年NPO法人バー・アスティエ協会の講師資格を取得、2014年以降バレエの解剖学運動学に基づいたトレーニングメニューやフロアバレエクラスをスタート。
2019年『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』を出版し、バレエ・ダンス・表現スポーツに欠かせない開脚エクササイズを紹介している。