お尻が出ると指摘されて、それがどうしても自分で修正しにくい、と来院したMちゃん。
立っている姿を診た状態では、どうにもお尻が出ているようにはみえない、、、 ではいつお尻が出ていると言われるの?と聞いてみたら、『プリエ、特にグランプリエの時です』と返ってきました。
なるほどね、これでお尻が出る、という理由が分かりました。
グランプリエは、一見すると腰が落ちて膝が横に広がって(ターンアウトして)いる状態と理解されがちなんですが、一番大切なことは、腕でしっかり体幹を支えて、重心が落ちすぎないように下に(=床に)プリエしていくわけです。 要は、膝の屈伸運動ではなく、膝を外に広げるためにやるのではなく、あくまで体幹をしっかりキープした上で深いプリエができるようになる、つまりはバレエにおける体幹トレーニングでもある訳なんです。
けれど、ジュニアも目にはどうしても外に開いた膝、そして深くプリエすることに眼がいきがち。
で、体幹はそっちのけに、それを(外に膝を向ける、そして今深くてプリエする)やろうとするんです。 そうなると、体幹がある程度しっかりしているタイプなら、そこまでお尻は出ないで済むけれど、そうではないタイプ(体幹がぐにゃぐにゃ系)なMちゃんだと、どうしても支えきれずにお尻がぽこんと出てしまうんですねf^_^;
背筋の反りでも、体幹が弱いタイプは、腰の筋肉だけで反ろうとするので、すぐ肩が上がってきてしまいます。 本日は、初診だったので、体幹を意識するためのエクササイズをいくつかやりました。
ただ、なかなか目的とする方向に気づけないタイプもいます。
例えば、寝た姿勢では????だけど座った姿勢だと分かる、とか、又、立った姿勢だと分かるとか、いろんなタイプがいるのです。
彼女は立った姿勢でのエクササイズが一番分かるようだったので、それを中心にやりました。ある程度の時間続けると、最初は、どれが支えられてて支えられていないかが曖昧だったのが、こっちはちがう、あ、これじゃないか、が少しずつ見えてくるんです。
そこで、宿題❗️
ハイ、あんじゅでは、自分の目標に向かってターンアウトを改善したいジュニアには宿題を出します。 そうやって意識して続けてもらうことがカラダをコントロールするチカラを育てるからです。
実は、この体幹の安定が、開脚やスプリッツの改善完成にも大きく関係しているのです。 単に脚の筋肉だけが伸びているように見えるだけが開脚とは言えません。 特に、腰が落ちた状態での開脚では、バレエやってダンス、新体操、フィギュアなどには全く通用しない開脚なんです。
どのダンスやパフォーミングスポーツも強くて安定して体幹が大切と言われますよね。 つまり、体幹が安定してくれば、脚も開くし、腰から下のケガも減るのです。 さてさて、Mちゃん 来月、宿題を続けてきてくれていると楽しみに待っていますね。お尻が出る、落ちると悩んでいるジュニア。原因は、お尻ではありませんよ。改善したいジュニアは、ぜひ体幹が意識してみましょう。

投稿者プロフィール
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市川淑宥子(ようこ)バレエ治療院あんじゅ院長
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一般社団法人日本バレエワークアウト協会理事
バレエ解剖学講師/バー・アスティエ講師
2008年にこれまでになかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をバレエ鍼灸と命名、バレエ治療院あんじゅを四ッ谷にオープン。以来、国内外のダンサーの治療に当たる。
2013年NPO法人バー・アスティエ協会の講師資格を取得、2014年以降バレエの解剖学運動学に基づいたトレーニングメニューやフロアバレエクラスをスタート。
2019年『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』を出版し、バレエ・ダンス・表現スポーツに欠かせない開脚エクササイズを紹介している。