6月から8月にかけて、海外在住のジュニアが夏の帰省時に来院することが増えています。
海外のバレエ学校は、そのほとんどがメソッドの元にクラスが行われているはずですが、何故、開脚やカエルストレッチが苦手だったり、アラベスクやディヴェロペの脚で悩むのだろう、と思っていました。
けれど、やはり隠れているものがありました。それは
姿勢の崩れ
です。
これまでに、在英国、ドイツ、スイス、アメリカ、香港、中国からは北京、上海在住のジュニアが来院しています。
ただ、ご両親のうちどちらかが日本人以外のハーフ特有とも考えられるケースもあります。
左右の股関節の開きに差を感じたり、股関節痛を訴えるジュニアで、左右の腸骨の差を発見することがありました。
最初、骨盤の腸骨稜のラインを確認していたところ、どうも左右のラインに違いがあると感じたのです。
動きづらい方の股関節のラインは、そうでない方と比べるとラインがシャープだったのです。
もちろん、多くの人の骨格は左右対象ではないので、こういうこともありえますが、ちょっとその差が気にかかり、念のため画像を持っているか確認させてもらったところ、スマホに保存されていたのです。
それを見たところ、明らかに左右の骨盤の幅やラインに違いがありました。
整形外科の先生は、股関節自体に変性や炎症がないかだけを診ることが多いため、左右の骨盤の幅や腸骨稜のラインの差にはあまり注目しないようなのですが、このように骨自体に差があると、それが股関節に関わる骨の場合、どうしても外旋させる角度(特にアンドゥオール)に差が出てくる場合があります。
彼女の治療は、まずお灸で炎症を取り除くことを最初に行い、その後ラインの調整に移り、痛みの出ない角度に脚を出せるよう日常でもコントロールできるようなエクササイズなどをやりました。
姿勢の崩れによるカラダへの負担は、レッスンだけでは解決しない部分があり、日常生活の中で自分自身がコントロールすることが必要になります。
けれど、筋力がまだ足りないジュニアの場合、意識して直そうとすると逆につっぱって立ったり座ったりすることにもなります。
それを解決するのが、【骨への意識】です。
特に小学生低学年、中学年のジュニアに少なくないのが、前々から報告している頭部の傾きです。
自分では真っ直ぐなつもりでも、右に左に傾いていることが本当に多い。ただ、本人にその自覚がないため修正するのに時間がかかるのもこの頭の傾きです。
これはお母さまに写真や動画をとってもらって確認するのが効果的です。実際写ったものを見てみると、自分でも歪んでいるとびっくりすることが少なくありません。
そして、この自分の頭はズレてるんだという【自覚】ができることが、歪みの修正と姿勢の補正の土台になります。
これは、なかなか自覚できないケースもあるので、こちらもご両親も我慢のしどころなのですが、自分がこうなりたいと思うダンサーや先生の姿がどうなっているのか、そこをイメージしてもらいながらエクササイズなどを行います。
頭部のズレが分かって自分でも直そうとしていくと、一回でカエルストレッチや開脚、スプリッツが改善するのも小学生低学年、中学年の特徴です。
年齢が上がっていくほど、ズレた姿勢でのレッスン歴が長くなっている訳なので、修正に時間がかかることがあります。
ここは、本人がどれだけ自分のカラダの感覚を育てていけるか、がポイント。指標としては、ピルエットがスッっと回れるようになってくると、姿勢が整っていることが多いです。
骨盤に左右差があって、股関節の可動域にも差がある場合や側弯がある場合も、解決の糸口は、上半身のスクエアをキープすること。
腕と体幹がしっかりつながることで、股関節にかかる重心の差を最小限にすることも可能です。
また、側弯のため左右の腰の筋肉に差がある場合でも、しっかり上半身があがっていることで、筋バランスの差を最小限にすることは可能です。ー
日本でも海外でも側弯を持ちながら踊っているダンサーがいるのは、そこがポイントだと考えてます。
現在、3名、帰国時のターンアウトアップ+プラスを希望しているジュニアがいるので、今年は早めにこれまでの症例を取り上げました。
トレーニングメニュー・ターンアウトアップ+プラスについては、こちらからご覧ください。
(注)
現在、土曜日の予約がとても混雑しており、帰国時の予約をご希望の方は、できるだけ土曜日の以外の日程でお問い合わせいただければと思います。
そして、念のため、夏休みの予定をお知らせしておきます。
8月1日水曜日~8月5日日曜日
【8月11日 祝・土曜日はオープン】
8月20日の週に研修が入る予定があります。(日程は未定)