『最近、足首、アキレス腱の辺りが痛いんです。』
と訴えたいたのは現在、膝を治療中のY先生。
膝痛は、長時間、膝を折っていたポーズが続いたことで膝穴に圧力がかかってしまったのが原因だったのですが、膝がよくなってきたところ、次にアキレス腱痛がでたそうそうなのです。
このような状態は、カラダのバランスがうまくとれないため起きることなので、痛みがあるところだけ治療しても効果がでないことが少なくありません。
と言うのも、バレエ、ダンスでは膝と足首は、それ以外、全てのボティバランスと常に連動しているからです。
よおく聞いて、診てみると、プリエで膝が折りたたまれる時、僅かに膝に揺れが見えました。
ドゥミプリエは楽になってきたけれど、グランは未だちょっと怖い、という時期、気持ち的にプリエをしっかりすることにためらいが出たりします。
膝は大腿部と下腿部の中間にあり、内へも外へも動く訳なんですが、バレエのプリエでは足部と同じ方向に揃えることが大切。長年踊っていると、どうしてもその方向にカラダをもっていきたいと無意識に外へ外へと動かそうとします。
痛みやケガがない時にはすんなり出来たことが、なかなかうまくいかないことが続きます。
と言うのも、挫傷して治療をしている時は、通常のすっと開く感覚が途切れてしまうため、どうしても力が入りやすい。
でも、無意識に働く部分も残っている、それが、膝のブレとなって現われるのです。
結局、アキレス腱の痛みは膝痛の関連として現れたもので、きちんとした膝の位置でプリエが入ると、足首にでていたツレる感じは無くなりました。
ケガをしていても、教えの仕事は中断できない教師やダンサーの場合、治療しながらでも踊らなければなりません。
その間大切なのは、力ではなくカラダの内側からの声をよく聞くこと。これは、運動神経ではなく、感覚神経の役割で、これまでの踊りで必ず養ってきたものだからこそ、焦らなければ少しずつ戻ってきます。
バレエ治療院あんじゅでは、治療と並行して、膝の位置の修正、足首の位置の修正などもサポートしています。

投稿者プロフィール
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市川淑宥子(ようこ)バレエ治療院あんじゅ院長
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一般社団法人日本バレエワークアウト協会理事
バレエ解剖学講師/バー・アスティエ講師
2008年にこれまでになかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をバレエ鍼灸と命名、バレエ治療院あんじゅを四ッ谷にオープン。以来、国内外のダンサーの治療に当たる。
2013年NPO法人バー・アスティエ協会の講師資格を取得、2014年以降バレエの解剖学運動学に基づいたトレーニングメニューやフロアバレエクラスをスタート。
2019年『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』を出版し、バレエ・ダンス・表現スポーツに欠かせない開脚エクササイズを紹介している。