では、
何故、バレエやダンスにおいて仙腸関節痛が起きるのでしょうか?
・ターンアウトの間違い
・オーバーユース
バレエ治療10年の臨床で、この二つに集約されると痛感しています。
バレエにおいて股関節から脚を外旋させる=ターンアウトは我々日本人にとって本当に難しい。しっかり引き上げて股関節(ヒップソケット)から脚を外旋させていれば、それほど仙腸関節に負担はかかりませんが、それがうまくいかない時に、仙骨に負担がかかってしまいやすいのです。
では、海外のジュニアやプロのダンサーなら簡単にできるのか?というと、そうでないケースもあり、ジュニアのうちは5番ポジションではしっかりターンアウトしているのに、パのつなぎだったり、走って下手、上手へ移動するときなどを診ていおると、脚が縦になっている人は少なからず見られます。
プロのダンサーでも仙腸関節痛をおこすことはあります。例えばディヴェロペでスクエアが安定していれば、骨盤は安定した状態で必要な角度を保てるのですが、リハーサルが続いていたり、他の公演も重なっていたりすると、どうしてもコントロールが効かなくなってきて、腰にのっかってしまいやすくなってしまいます。
その時負担がかかりやすいのが股関節とこの仙腸関節なのです。
人間のカラダはバレエを踊るようにできるいるわけではないため、全てのパを脚を外旋してできるようになるには長〜い訓練が必要だ、ということなのですが、その過程で起きやすいのが、このような状態です。
・無理にお尻に力を入れてポジションに立つ
・仙骨を立てようとして、骨盤ごと動かしている
・プリエをする度に、お尻が出ないように腰回りに力をいれる
・スクエアをキープする代わりに上半身を固めてアンシェヌマンをこなしている
オーバーユースが考えられるケースとは
トッププロであっても、又、バレエ教師でも、カラダのコントロールをキープできなくなる場合もあります。
ホルモンバランスの乱れや、長時間の移動、又、特に最近多い、多方面に動くコンテンポラリー作品などの影響もあります。
プロの場合、仙腸関節に痛みが出ている時、柔軟なカラダだからこそ、他の箇所にひずみがでていたりします。
・骨盤・トルソーの歪み
・一過性の側弯
・大転子の落下
・膝と足首の捻れ
仙腸関節痛を伴う腰痛になったケースでは、上のような状態が多くみられます。
では、バレエダンスでの仙腸関節痛、どうやって治療するか?に移ります。
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
日本バレエワークアウト協会理事
芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange