・炎症を抑えること
仙腸関節の痛みの原因は炎症なので、痛みを取るためには、これにつきます。
簡易的にできる方法はないの?
あります。まずこの2つをやってみましょう。
・ロキソニンテープを貼る
・ロキソニン錠剤(等抗炎症剤)を飲む
現在は、炎症鎮痛剤のロキソニンが薬剤師のいる薬局で手に入れることができるので、一番最初にできるのはこの方法でしょう。
けれど、このロキソニンでとれるのはできて直ぐの炎症です。
と言うのも、皮下に浸透すると言っても短時間であること、錠剤は痛みのある仙腸関節にできている炎症そのものにダイレクトに利くものではないからです。
この二つで解消される痛みであれば軽傷なので、後はアライメントを見直して、インナーマッスルのトレーニングを強化するなどすれば、訓練されたダンサーなら踊りに戻っていけます。
これは、他のケガでも同じです。
けれど、この方法でも解決せず、痛みが慢性化して一ヶ月以上痛い、また痛みがぶり返す、場合は、他の要因を考える必要があります。
前の記事で仙腸関節に何故痛みがでるのかの理由を書きました。
・ターンアウトの間違い
・オーバーユース
慢性化したり、ぶり返す仙腸関節痛の先はこんな状況が診られます。
・炎症の拡大
・仙腸関節以外、骨盤周囲の筋膜にも炎症が出る
・骨盤周囲の筋肉・腰痛きわの筋肉が硬くなる
です。
痛みをごまかしながら踊ってしまうとカラダのアライメントは崩れていきます。仙腸関節は骨盤のプレースメントに関わってくるので、しっかり踏めない状況で踊る訳です。そのため、かかる負荷を支える他の筋肉に影響が及んでいきます。
片脚で軸のアラベスク・アティチュードやデリエールのカンブレなどで痛いだけだったのが、負荷の少ない床に寝て抱えた脚を伸ばそうとしただけで、腰全体に痛みが走り、仙腸関節がぴりぴりする、と言うクライアントもいました。
ダンサー、教師は休めないため、ほとんどの方が痛みを抱えてそのままやり過ごそうとします。またレッスン生は痛みに無頓着な方も少なくなく、ロキソニンを貼って痛みをごまかしながらレッスンを続けていると言うこともあります。
最初に炎症が出ているだけの時に適切な治療をすれば尾を引かないのですが、下手をすると膝痛を再発させた人もいました。
とっさの場合の対処は自分でもできますが、痛みがなかなか引かない、歩くのにも少しつらさがある、というときは、しっかり治療をすることが大切です。
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
日本バレエワークアウト協会理事
芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange