足首の骨に変性が出てしまった中学生。
その骨は距骨でした。
距骨という骨は、かかとの上にあり、足首を構成する骨の一つでもあります。
ポワントのリハーサルが沢山増えあて負担がかかったため、その骨に濾胞ができてしまい、ステロイドを2回打っても痛みがとれずレッスンも増やせない状態でした。
このようなケースではまず痛みが出ている部分の治療が優先になります。
濾胞のある部位=痛みがある部位 ではないケースは案外多い
今回の例でいうと、濾胞ができているのは距骨です。このほねは、スネの骨の下にあるためほとんどは触れられません。
でも実際に痛みを感じるところは、中の方や前側ではなく、アキレス腱の内側。アキレス腱周囲炎にも近い症状です。
この炎症が出ていいる部分をしっかり治療することと、原因となっている硬いふくらはぎを緩めることが大切です。
彼女のケースでは、初回のバレエ鍼灸で痛みと炎症がとれました。
これは、年齢や挫傷している箇所の状況によって変わってきますが、やはり成長期であるジュニアの治りは比較的早いことは多いです。
2回目は、レッスンを受けて痛みが出るかどうかがポイントです。
一週間後に診た時は、痛みは出ていませんでした。
次は、立ち方を修正することが大切です。あんじゅのパーソナルトレーンング「ターンアウトアップ」はそのためにあります。
今回は最初に、立た状態、寝た状態の姿勢をチェックするところから始めました。
するとやはり、上半身のスクエアをキープする力が弱く、フロアバレエの骨盤コントロールでは脚をあげようとすると腰が動いてしまっていました。
小、中学生の場合は筋トレに近いダイナミックストレッチの方が早く効果がでるので、まず体幹を鍛えるメニューを組みました。その後に立っあてみてもらうと『あ、立ちやすい!』くなっていました。
小さな頃からずっとバレエのお稽古を続けていても、どうしても力を入れずにすっと踊れるようになるのは難しいのです。
脚を開きたい、つま先を伸ばしたい、膝を外に向けたいと思うあまり、力を入れて姉妹、、、結果、レッスンが筋トレになってしまった挙げ句、脚が太くなる、ふくらはぎがパンパンになってしまうジュニアは少くありません。
体重が軽い頃に脚で踊る癖がついてしまいそのまま続けていると、腕と体幹をつなげスクエアをキープして踊る感覚を養えずに来てしまうのです。
そのため、足首のケガでも大切なのは、体幹のトレーニングです。体幹トレーニングをした後、ドゥミでしっかり立てる練習をします。ケガになる大抵の原因は、このドゥミをつま先立ちと勘違いしていることです。これを修正するのは実はとても大変です。なぜなら、今までの立ち方の方が楽だからです。
このつま先のトレーニングのために、年齢によって骨模型や解剖図などを使って、意識したい場所をしっかり認識してもらうこともうあります。
ドゥミの練習をいくつかしてポワントで立ってみると、いつもより楽に立てるようになったようです。
必要な場合にはこの訓練を何回か繰り返します。痛みが出たら治療に切り替え、踊りにもどっていけるようになったジュニアは沢山います。
大抵のジュニアは、足首が痛くてもそのうち治るだろう、と思って数ヶ月そのままということも少くありません。お家では、日頃からその時の様子を聞いておくことを心がけてください。
そして、痛みがあるのであればすぐ先生やご両親に相談する勇気を持っていることも大切ですよ。
ポワントをはかない新体操でも、つま先を伸ばしたり高いドゥミで演技のするので、足首の炎症を起こすことは少くありません。
練習した後は、必ずメンテナンスをすること、つま先立ちの見直しをすること、そして痛みがある時は適切な治療を受けることが大切です。
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
日本バレエワークアウト協会理事
芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
2008年、当時はなかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をスタートさせ、バレエ鍼灸と名付ける。現在も踊りを続ける治療家として、またフロアバレエクラスの講師として、施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange