では、どうして膝押しになってしまうのか?
です。
解剖学的に診ると
◯上に上げるより、後ろに押すが簡単
◯力が入ると、固まってしまう
◯日本人の骨格だと、膝は伸びない

からです。
「膝のお皿をあげてね」とはよく言われることですが、下にあるものを上げるのはとても大変。
実際は、足に乗れてしっかり床を踏めていると膝のお皿は自然に上がっていくのですが、ここがとても難しい。
となると、どうするかというと、膝のお皿だけをあげようとします。
こうすると(足に乗れてしっかり床を踏めているかどうかは後回しになってしまう為)力が入って後ろに押してしまいやすいのです。
これ、床に座って壁を床に見立ててゆっくりやると案外できることなのですが、レッスンでは一人だけゆっくり時間をかけて、なんてできませんよね。
その為、力を入れるつもりではないのに、力が入って後ろに押しやすいのです。
特に、小学3、4年生で未だ姿勢が安定せず、ふらふらしがちなタイプは、姿勢を安定させるためにぎゅっと力を入れて立つことが少なくありません。
この時に気がつかないうちに膝押しになっているケースが多く見られます。
そして、日本人の骨格は、腰高である西欧人の骨格とは逆に臀部が落ちやすい構造になっている、これが大きな要因なのです。
今日本には沢山の外国人観光客が来日していますよね。
特に西欧人の姿を後ろからよく見てみてください。
大きなお尻をしているのに、腰がぐう〜と高い人が多くありませんか?
ダンサーには恰幅のいい人はいませんが、基本的な骨格はこのような腰高なのです。
一方、私たち日本人は、骨格的に薄く腰が落ちやすい。
膝押しをずっと続けていると、骨盤を押し上げるのとは逆に、腰を後ろに引くことなります。
これがやがて「後ろ体重」になっていくのです。
バレエの力学は、全て上と下、です。
前に移動するパでも、上へのアプロンと床をしっかり踏んでいる張りで、進んでいくので、後ろというベクトルは存在してませんよね。ここがバレエの難しいところでもあります。
後ろに押すジャンプは、これは、ふくらはぎの肉離れの原因でもあります。
他、膝押しのクセが直らないとどうなるか?
次はこれについて書いていきます。
膝押しを解消しよう Ⅳ
膝押しを解消しよう Ⅰ
膝押しを解消しよう Ⅱ
膝押しを解消しよう Ⅴ
投稿者プロフィール
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市川淑宥子(ようこ)バレエ治療院あんじゅ院長
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一般社団法人日本バレエワークアウト協会理事
バレエ解剖学講師/バー・アスティエ講師
2008年にこれまでになかったバレエ・ダンスのための鍼灸治療をバレエ鍼灸と命名、バレエ治療院あんじゅを四ッ谷にオープン。以来、国内外のダンサーの治療に当たる。
2013年NPO法人バー・アスティエ協会の講師資格を取得、2014年以降バレエの解剖学運動学に基づいたトレーニングメニューやフロアバレエクラスをスタート。
2019年『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』を出版し、バレエ・ダンス・表現スポーツに欠かせない開脚エクササイズを紹介している。