ジャンプの着地で肉離れを起こすことは、少なくありません。
特に、「ジャンプが得意」「ジャンプが好き」なタイプが挫傷しやすいのがふくらはぎです。
今回は、ちがう箇所でした。
ふくらはぎと同じ膝下ですが、外側、腓骨筋の腱に肉離れが起きた症例をとりあげます。
今回の症例ケースのポイントはこの三つです。
・肉離れになってまだ歩きづらい、プリエが踏みにくいのは炎症が残っているから
・炎症をしっかり取らずに踊りに復帰すると、筋肉がしっかり伸びてくれないので、次の肉離れになる可能性がある
・踊ってないので、炎症がとれても筋肉はお休みしたままなので、早期復帰にはバレエリハビリが大切
では、膝下外側の腓骨筋腱の肉離れの治療とリハビリを紹介します。
ジャンプの着地で肉離れを起こすことは、少なくありません。特に、「ジャンプが得意」「ジャンプが好き」なタイプが挫傷しやすいのがふくらはぎです。
今回はふくらはぎと同じ膝下ですが、外側、腓骨筋の腱に肉離れが起きた症例をとりあげます。
ダンス以外でも、肉離れというと「ふくらはぎ」(腓腹筋、腓腹筋腱)の例が多いのは、膝を曲げた姿勢で体重がかかった時に負荷がかかりやすい場所だからという点があります。
腓骨筋とはどこにあるかというと
膝下の外側にある骨が腓骨。
上の赤丸が長と短の腓骨筋です。そして、その下の赤丸は両方の腱がバラバラにならないようにまとめてくれている腱鞘(けんしょう)です。
その骨の頭(腓骨頭)腓骨にそって外くるぶしの外側を通り、足底に向かって走っているのが長腓骨筋。腓骨の下半分ほどから始まるのが短腓骨筋です。
この二つの筋肉は足部を内反させる、つまり足裏を外に倒して母趾側を見せる動きにつながるのですが、イメージしにくいですよね。
バレエ的には、エシャペでしっかり膝下を張る時に一番使いたい筋肉、と考えてください。
この筋肉は、同時にプリエでしっかり床を踏む時にも使われていますが、こんな状況下だと予想以上の負荷がかかってしまいます。
着地のプリエで、膝が外に流れてしまった。
今回のケースは、若いダンサーだったので、飛ぶエネルギーも強かったと想像できます。
初回の来院時には松葉杖の補助が必要な状況でした。
このようなケースの優先事項はまず、一刻も早く炎症を取り除くことです。
診ると腓骨三分の一下、外側が張っているのと、触れると違和感の出る部分が混在していました。
このようなケースでどのくらい治癒にかかるかはこのような条件で変わってきます。
・炎症の度合い
・筋肉のタイプ
・年齢
彼女の場合は、初回の治癒後、二回目の治療時には松葉杖はとれていました。
本当に、あんじゅバレエ鍼灸の施灸のパワーは高いです。
ここで気をつけておきたいことを一つ。
肉離れはほうっておいてもある程度は治ります。
ただ、このような状態がつづいていたら注意が必要。
・膝下外側がしっかり伸びてくれない
・プリエを踏もうとしても足首がはまった感じがない
・エシャペで脚が張れない
これは、炎症がくすぶってのこってしまい、線維が伸びにくくなってしまっている可能性が考えられます。
伸びにくくなっている脚で踊り続けて、又肉離れを起こすケースを治療しているので、しっかり治すのがオススメです。
二回目三回目も、炎症を取り除くことが優先ですが、加えて筋肉をほぐすことも加えます。
一般の整形外科だと(湿布出されて、電気治療とかがせいぜいですが、それだけだと、通常のレッスン、リハーサルの日常に戻るのには、余計に時間がかかってしまいます。
ダンサーの場合、挫傷した後は、いかに早くプリエができる状態に戻すかがポイントです。
三回目の治療後には、リハビリになる整体手技を加えました。
そして、四回目は、レッスン、リハに向けてのリハビリ。
挫傷した原因は、多くのケースで「関節の捻れ」です。
その捻れが起きないラインに整えながら、運動療法を加えます。
運動療法も基本はバレエの動きでおこなうこと
アテールからドゥミ、ドゥミからハイドゥミ、アテールからプリエで、足・脚がしっかりはまる位置をサポートしながら軽いエクササイズをします。
これらには、フロアバレエやチェアバレエのテクニックを土台にしているのが、あんじゅ流。
必要な場合は、開脚エクササイズから、腕のトレーニングを入れることもあります。
松葉杖をつかっている間、腕や肩甲骨に左右差がでることが多々あるからです。
治療の度に歩き方に軽さが戻り、最後にはしっかりした足取りで帰られました。
繰り返しますが、バレエ、ダンスにおける膝の柔らかさに外側の筋肉はとても大切。
腓骨筋でなくても、腓腹筋であろうとハムストリングスや内転筋であっても、筋肉の線維や筋膜、腱の肉離れはしっかり炎症をとることが早期復帰の要です。
他の肉離れの治療はこちらからご覧ください。