フィギュアスケートのクラブの中には、一般営業の日も含めると毎日練習があるクラブも少なくありません。
氷の上で沢山滑った方が、ジャンプやスピンの感覚を育てやすいからなんですが、子供の成長過程において、その練習量が思わぬ怪我や痛みに繋がりかねません。
上達するためには一定以上の練習は必要なので、その兼ね合いは難しいところです。
ジュニアのカラダのことで言うと、10代前半は一番身長が伸びる時期で、一年で10cm以上ぐぅんと伸びる子もいます。
それは人ぞれぞれなのですが、急な身長の伸びがあった後になりなすいのが、膝痛です。
オスグッド症候群
ケースによって、太ももの使い過ぎからくる膝痛の場合もありますが、膝のお皿の下の痛みが続いてなかなか引かない場合は、オスグッドの可能性が少なくありません。
Cちゃんのケースは、両膝のお皿の下に炎症が溜まっている状況でした。テーピングをしても痛みが引かない、一般的な施術所での治療でも治らないということで、当院で治療したのですが、触ってもわかる炎症がかなり膝下に残っていました。
このような状態だと、テーピングをして練習している限り、痛みは続くことが考えられます。
治療としては、膝の下にでている炎症をお灸と鍼で取り除くことが最優先となります。
Cちゃんの場合、かなりの炎症があったのですが、施術後には触った感触で痛みが劇的に減りました。更に、膝の動きを硬くさせる要因になっている大腿四頭筋の硬さをほぐしていきます。
ケースによって整体でおこなったり、鍼灸のみだったり、パルス治療を入れる場合もあります。
大腿四頭筋は、膝のお皿を挟んでいるので、硬くなって伸びにくい筋肉に挟まれているお皿にも負担がかかります。
膝蓋骨を支えている靭帯は、膝下の脛骨の前面に付着するので、膝の下が痛くなるわけです。
フィギュアスケートは、膝を曲げて滑るテクニックが殆どなので、柔らかく膝を使って滑ることが大切。
膝痛を抱えたまま練習を続けると、痛みをかばうために膝以外の場所も痛くなることもおきるので早めに対応することが肝心です。ジャンプをするにもスピンをするにも痛みを抱えたままだとうまくいきませんよね。
治療については、炎症の度合いによって治る期間も変わりますが、大切なのは治療後に膝の曲げ伸ばしの修正をすることと考えています。
治療院にくるフィギュアジュニアによく診られるのは、膝の直上に力を入れて膝をまげる様子。
それでは膝の関節に大きな負荷がかかるだけでなく、太もも前にかかる圧でどんどん脚の筋肉が硬く太くなっていきます。
『柔らかく膝をつかって』と言われる真逆になっていれば、当然ジャンプも決まりません。
ではどうするか?というと
・もも裏の筋肉をしっかり使う
・脚を支える腹筋をしっかり使う
・膝と足首の関節を揃えて滑る
それぞれ解説すると、
1.日本人は民族的に太もも前の大腿四頭筋の力が強い傾向にあります。
この筋肉は本来は膝を伸ばす筋肉、なのに逆につかっている訳です。
筋肉的には、膝を曲げるのは大腿四頭筋の反対側、もも裏の外側と内側のハムストリングです。
この筋肉をしっかり意識して滑ることがポイント。
2.膝を曲げる時に太もも前に力が入りやすい人は、脚を支える腹筋が弱いタイプです。
滑り出しで脚の力だけで氷をけると、カラダが大きく前にかたむいてしまいます。
もも裏の筋肉もしっかりつかえるようにするには、腰より上の体幹が引き上がっていることが大切。
つまり、お腹の中の筋肉がしていることが肝心。インナーでしっかり骨盤をささえているから、前でなく後ろのハムストリングがしっかり働くのです。
3.体幹が安定してきても、滑り出しで靴と膝の方向がずれてしまうと、体重をしっかりブレードの上にのせることができません。
膝の位置だけ考えてブレードに乗ろうとしても膝はグラグラしやすくなります。
安定して氷をけるには、膝と足首の方向がしっかり揃っていることが大切。
これは、なにも氷の上だけではなく、陸練でも同じです。
ブレードの上に体重を乗せる感覚を修正し、腹筋トレーニングで体幹の支えを目覚めさせると、立っている感覚が変わり、そこから膝の曲げ伸ばしをするとしっかりハムストリングが使えるようになっていきます。
若いジュニアは少々の痛みでも滑りたい気持ちが優先してしまうことが少なくありません。ご家庭で、練習リンクで様子が少し違うようであれば、適切な治療を入れる判断をすることが大切です。
ジュニアに多い膝痛の原因オスグッドにつていはこちらから
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【院長プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
○毎月一回フロアバレエクラス開催中
カラダが引き上がって脚が軽くなっていきます。一緒に踊ってみましょう~
○トレーニングメニュー【ターンアウトアップ】と【バレエの解剖学】から開脚の本ができました。
『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○踊りやすい、動きやすいカラダについて解剖学の外部講師活動もおこなっています。(活動レポート)