幼稚園の頃からスクールに通っているのに、未だにスプリッツがうまくいかない、と悩んでいるジュニア。多くが腰が縦になってしまい、脚が前後にのばしきれない状態になっています。このまま上から押したとしても、ハムストリングスや内転筋は既にパンパンにはっているので、痛みを感じさせるだけでストレッチにはならない、こういう症状を抱えているジュニアは少なくありません。
多くのケースで、脚が開かないと思って、脚を伸ばそう伸ばそうとしているんです。
でも、原因は、脚より上にあることがほとんど。
Rちゃんもケースも原因は、上にありました。特に腕と手にあったのです。特に最近、彼女と同じようなパターンが増えています。悩みや左右開脚だったり、バックルだったり、スプリッツだったりしますが、原因は、開かない脚ではない、というパターン。
これには、現代の便利な住宅環境が関わっているのです。1999年までと違い、今の家では、手を洗うとき、ドアを開けるときにあまり腕や手を使わなくて済む環境にいるジュニアが多いようです。これは、一緒に来院されるご父兄に伺うのですが、『ペットボトルの蓋を開けるの苦手です』とか、『家の水道は捻るタイプではありません』というお家が本当に多い。
以前から手の指がしなしなでしっかり指が伸ばせない、腕を前に出すと背中が後ろにいく傾向が見られましたが、比較的筋力をつかう新体操やフィギュアスケート、シンクロナイズドスイミングのジュニアにもその傾向が現れてきたのには、驚きました。
腕は、体幹としっかりつながって上体を引き上げるのに大切なカラダのパーツ。それをうまく使えていないのです。これでは、開脚やスプリッツでも脚だけで伸ばそうとする他はない訳です。いくら小学生で体重が軽いからといって、下肢(腰から下の部分)は、だいたい18%くらいと言われています。しかも頭の重さはかなりあります。大体4,5キロ位。そこから考えると、どう考えたって、胴体がある腰から上は体重の半分位。10代は、まだカラダができあたっていないという状況を含めたとしても、上から乗っかっていたら、伸びたい脚も伸びきれません。
このようなケースで効果を発揮するのが意外なこと。『グーチョキパー』です。開脚やスプリッツをしながら、グーチョキパーをさせるのですが、指がしっかり伸びない、グーがしっかり丸まらないのでうまくいかない、やっているうちに背中が後ろに倒れてくるケースもあります。
このグーチョキパーとクッションを使った触覚の活性化を加えると、指の感覚が目覚めて少しずつ腕と体幹がつながってきます。アーティスティックスポーツのジュニアは、腕が体幹と連動してくるとそこから先はけっこう早かったりします。上体を引き上げると腰があがる、という感覚がつかめると、一回でこのように苦手だと言っていたスプリッツに変化が出て、ブロックを立てたところに足をおけるケースも多々あります。
この写真のケースだと膝が伸びきっていないのですが、先に膝を伸ばすことに注力する前に、しっかり上半身を引き上げることが大切です。上半身がひきあがっているからこそ、膝も伸びていくからです。
毎日柔軟を頑張っているのにどうしてもうまくいかない、そういう場合、グーチョキパーを入れてやってみてください。それでもできない、場合は基本の姿勢を診ることをオススメします。