アーティスティックスイミング(シンクロナイズドスイミング)で大会に出る予定のRちゃん。左右開脚はできるのに、スプリッツが苦手です。それよりも気になるのは、立った時の姿勢。どうしても反り腰になってしまい、指摘されてもすぐ戻ってしまうこと。
反り腰や、内肩や頭にズレがあっても表現スポーツをしているジュニアはかなり多いです。子供カラダは成長期特有の柔軟性があるので、なんとかこなすところまではできるからです。けれど、そのうち行き詰まるところが出てくる、それが昇級テストだったり、大会だったりする訳です。試合のためにみんなと合わなくてはならない、でもなかなかうまくいかない、その段階になって苦手な部分がクローズアップされてくるからです。できないことが悔しいので、一生懸命練習を続けた結果、膝や股間節を痛めるケースもあります。
では、どうして反り腰になるのでしょうか?を考えてみると、一つには子供のカラダの成長と関係があります。
まず第一に考えなくてならないことは、子供のカラダは大人とは違うということです。
『児童合唱の指導をするのは、大人の指導を同じにはいかないですね。子供はまだカラダができあがっていないので、肺や横隔膜がちゃんと働かせられないわけです。ということは、大人と同じ発声はできないんです。そして、児童合唱の歌い方のままでは大人の発声はできないのです。』これは、オペラ歌手のMさんがおっしゃっていたことなのですが、同じことは、バレエ、ダンスそして表現スポーツにも当てはまります。
10歳前後、タイプによっては、小学六年生くらいまでのジュニアは、首や肩、腹部背部腕を含めた体幹は実は柔らかいのです。内臓自体、成長過程にあるのですから周りの筋肉もそれなりに柔らかいのです。『うちの子は硬いのです』とお母さまがおっしゃるジュニアでも、ちゃんと診るとカラダは柔らい。長座前屈で背中が丸くなる、開脚でお腹が落ちたり、背中が伸びなかったりするのは、姿勢をどう保持していいかがつかめていないからなのです。つまり、柔らかいからこそ、姿勢が安定させることが難しい、ということなのです。
カラダをどう安定させて保持すればいいいのかが分からないから、右や左に揺れてしまう、腰を反らせてたってしまう、この状況にあるジュニアに、上から乗るようなストレッチをさせると、反発から周りの筋肉を固めてしまいかねません。周りの筋肉を固めることが身についてしまったタイプでは、膝の周囲が異様に固くなってしまうので、注意が必要なのですが、、、未だに上から乗って膝を伸ばさせるストレッチが多いのは、本当に残念です。
ぐにゃぐにゃしやすいジュニアには、そのカラダの個性に合わせて、どこを意識するとまっすぐ立ちやすいかを触れながら伝えます。そして次に行うのが、毎日やっているストレッチの姿勢を修正することです。何年も頑張っているのに成果が出ない理由の一つが、やっている姿勢が崩れている、これが多いですね。
すると、『いつもやっているより、伸びる~』という感覚を味わえるようになってきます。
左右開脚は、まず骨盤を立たせて座れるようになることがポイントなのですが、ジュニアのスプリッツの場合は、骨盤と肩甲骨から上肢、首にかけてのパーツ(上半身)をコントロールしながら腰を縦ではなく水平にもって来られるようにすることが大切です。高校生くらいのジュニアだと、おおよそ大人のカラダになっているので、別のエクササイズを組むこともありますが、10歳前後のジュニアの場合は、骨も柔らかいので、無理をさせないように、上半身のひねりをつくっていけるように導いてあげます。
手が体幹とつながってくると、上半身が安定してきます。すると、スルッと抜ける感覚が出てきやすくなるのです。この抜け感が出てくるとジュニアの習得スピードは早まります。面白い、という興味も高まっているので、何度もチャレンジしているうちに一回で、スプリッツが完成するケースは多々あります。
前回は、バックルが完成した症例を紹介しましたが、開脚、スプリッツ、バックルでも一回でコツを掴んだ後は、何度も繰り返すことが必要。そのために通ってくるジュニアもいます。
何年も練習しているのになかなかスプリッツで膝が伸びないと悩んでいるジュニアは、無理をしなくてもできるようになりますよ。あんじゅは、新体操、フィギュアスケート、シンクロナイズドスイミングのジュニアの開脚改善をサポートしています。