そもそも何故、膝押ししてしまうのでしょうか?
レッスンでは膝は伸ばしてと指導されますが、決して押していいとは言われません。先生にもこれが謎なのですよね。
実は、
膝を膝蓋骨と考えてしまうことからこの膝押しが始まってしまう
と言ってもいいでしょう。
でも膝のお皿って元々でてるんです。
これをどうやって伸ばせばいいの?と思いますよね。
その結果、膝を後ろにおして伸ばそうとする、そういうクセがついてしまうのです。
特にプリエ・ドゥミプリエから1番に戻る、5番に戻る時に知らず知らずに膝を押して伸ばそうとします。
でもやっている本人はそのつもりはないのです。
脚を真っすぐに膝をきちんと伸ばそうとがんばっているだけだったりする。
そもそも、1番・5番のポジションに立っている時に既に膝を押して立っていることが少なくない。
特に両脚をぴったり揃えようとして、内筋をつかってしめようとすると、一番使ってしまいやすいのが大腿四頭筋なのです。
この筋肉は、太ももで一番大きい=力が強いのです。
その筋肉が膝のお皿を通って膝下のついている。
そのため、プリエの度に太ももに力が入ると自分で意識しているつもりはないのにこの筋肉が働いてしまう。
この大腿四頭筋、股関節は屈曲=ドゥバンさせますが、膝に関しては伸ばす働きがあります。
つまり、脚を伸ばそう、膝を伸ばそうとすると自然と膝を押しやすい構造があるのです。
そのため、太ももに力が入ってしまうと骨盤は前傾する=お尻が突き出るダックの形になる。
この(骨盤の)プレースメントはバレエ的にNGなのはみんな分かっているので、踏ん張って骨盤を立てようとすると膝が曲がる。そのため余計に膝を押して伸ばそうとするのです。
プリエが浅い、ドンドンO脚になっている、カエルができない、アンドゥオールに悩んでいる、その原因の根底にこの膝押しが潜んでいます。
3,4歳のころからずっとこのクセをつけていると、太ももの下・膝の上の筋肉に固~い層ができてしまい、更にアンドゥオールさせにくくなってしまいます。
そこで役に立つのが45度×2、なのです。
一番の理由は、股関節の基本的な外旋度が45度だから。
股関節は、一般的に45度は外旋=アンドゥオールします。
このポジションは大腿四頭筋の力がニュートラルでいられる角度なのです。
ニュートラルとなると言うことは、床を踏む=立つことで得られる足部からエネルギーが自然に脊柱に伝わりやすいと言うことでもあるのです。
脊柱には、バレエで一番大切とも言える【大腰筋】がついています。
この筋肉がしっかり体幹=トルソーと軸足と動作脚=大腿部とつながっているからこそ骨盤は平らなプレースメントでいられます。
特に日本人の骨盤が西洋人と比べ民族的に狭い構造になっていることが注意点なのです。
ロシア人やイギリス人のカラダは、太ももからアンドゥオールさせてもそれほど抵抗なく開く構造だけれど、狭い骨盤を持つ日本人では同じことをやると股関節や膝関節をロックさせることになってしまう。
けれど、45度という解剖学的にニュートラルな角度だとこの太ももの力は発揮されにくいのです。
3,4歳のジュニアがレッスンでこのから始めるメソッドもあります。
これは、まだカラダができていないことを充分考えてのこと。
そして普段の生活で、この角度で立つことで骨盤のプレースメントを崩さない習慣をつけることが、バレエの姿勢を身につけテクニックを育てることにもつながるのです。
バレエの膝は、膝蓋骨をみていていは解決しません。
膝の内側、脛骨の内側(ガ足)を意識できるようになるとベターです。
これはパリオペラ座の先生も同じ場所を指摘している現場をこの目でしっかり見学してきたので、間違いはありません。
ワガノワ系の先生だと、大腿骨のやや上の骨をさすります。指摘する場所は違うけれど、構造的に同じことを示しています。
膝押しは今日からストップ。45度×2、で1番、もしくは3番で、バレリーナのスッキリ伸びた膝に育てていきましょう。
【院長プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長
○毎月一回フロアバレエクラス開催中
カラダが引き上がって脚が軽くなっていきます。一緒に踊ってみましょう~
○トレーニングメニュー【ターンアウトアップ】と【バレエの解剖学】から開脚の本ができました。
『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○踊りやすい、動きやすいカラダについて解剖学の外部講師活動もおこなっています。(活動レポート)