分かりにくいと言われる解剖学をあんじゅ独自の視点でお届けするのがこの解剖学コラムです。【動かす(踊る)ためにカラダはどんな特徴があるのか?】を軸に人のカラダの仕組みを一緒に見ていきましょう。
大腿骨、脚の骨で一番長くて大きい骨、です。
さて、解剖学では、骨をその形で分類します。
大腿骨や腕の骨(上腕骨)、スネの骨(脛骨)などすっと長い形状をしている骨は長骨と言います。
骨は形で分類する
大腿骨は長い骨
他に、お椀やお皿のような形をしている骨盤や頭の骨(前頭骨、側頭骨)などは扁平骨と分類されています。
骨盤、頭の骨は扁平骨
大腿骨は人のカラダで一番太くて長いということは=範囲が広い、ということになります。
腸骨のところで解説しましたが、範囲が広いところには沢山筋肉がつきます。
なので、脚には大腿四頭筋、長内転筋など15以上の筋肉が関わっています。
筋肉についてはまた別の項目で詳しく紹介するので、さきに骨についてさらに深堀りしていきましょう。
大腿骨は、人の頭のように先が丸くなっていて(大腿骨頭 だいたいこっとう)
その下が首の様になっています(大腿頚部 だいたいけいぶ)
首の下はくの字のように曲がって斜め下に向かっています。
この斜めの範囲が広い部分を大転子(だいてんし)といいます。
大があるなら小もあります。
反対側(内側)に内転子があります。
いろんな人のレントゲン画像を見てきましたが、大腿骨の頭はどの人もほとんど同じ、形は変わりません。
アイスクリームトングのように丸い形をしています。
でも、その先、大腿骨の首にあたる頚部の形、長さと大転子の形や方向には、個性があります。
人それぞれだということです。
そして、この大腿骨の形状は股関節の可動域にとても関わってくる部分です。
大転子の先は、円柱のような骨が続いていて、末端(まったん)は左右に膨らんでいます。
円柱のような真っ直ぐな部分は、大腿四頭筋が膝のお皿(膝蓋骨)の下まで走っています。
骨の終わり(末端)左右のふくらんだところにも、大腿骨より上にある骨盤から筋肉が始まっていて、膝下の骨、脛骨(けいこつ)腓骨(ひこつ)につきます。
骨盤でも紹介しましたが、骨の出っ張りは筋肉が始まるところになるし、終わるところにもなります。
この始まりと終わりがポイント。
筋肉は骨に始まり骨に終わる(起始と停止)
筋肉が終わるところ(停止腱)が始まるところ(起始腱)に近づくことで、骨が動かされる=運動になるのです。
筋肉の代表例として、縫工筋(骨盤の外側の棘から始まって、膝下の骨脛骨の内側に終わる)と大腿二頭筋(ハムストリングス 坐骨から始まって膝下の外側・腓骨頭に終わる)のイラストをアップします。
大腿骨の前にあって一番大きな筋肉、大腿四頭筋もこの骨の個性と関係があります。
大腿骨の骨幹・骨体はすべすべしている円柱で、棘や出っ張りがありません。なので、骨盤の下のでっぱり(下前腸骨棘)から膝下の膝蓋骨まで、4つの筋肉合わさってほぼ真っ直ぐ下に走っていくのです。
いつも図鑑やイラストで見る姿は前側が多いです。
けれど、このアプリだといろんな側面から見ることができるのがとても参考になります。
裏側から見ると、4つの筋肉が大腿骨を包み込むようになっているのが見えますね。
外側から見ると、外側広筋が太いのがよく分かります。
一番長くて太い大腿骨に関わる筋肉は他にもたくさんあるのですが、やはり大腿四頭筋の存在はとても大きい。
脚を縦につかうと、この4つの筋肉にダイレクトに負荷がかかるので、筋肉が肥大しやすい、という事になります。
もちろん、垂直に飛ぶバスケットやバレエボールは縦に膝を折って飛ぶことで大きな力を生み出すので、行うスポーツやダンスによってこの四頭筋の使われ方は違ってきます。
一番長くて太い骨、大腿骨にはいろんな面があります。
前面に大きな存在感を出している筋肉・大腿四頭筋については、筋肉のパートで再度詳しく紹介しますが、骨と関係している部分を少し解説しました。
まだまだ面白いこの太ももの骨、しばらくこの大腿骨を紹介していきますね。
解剖学・カラダのことを知ると何故?が分かってくる
解剖学 骨盤のパートのリンクです
【著者プロフィール】
市川淑宥子(ようこ)
バレエ治療院あんじゅ院長/日本バレエワークアウト協会理事/芸術家のくすり箱プロフェッショナル会員
鍼灸師/フロアバレエ・バー・アスティエ講師/チェアバレエエクササイズ講師
バレエ鍼灸を2008年にスタート、踊る治療家として施術・ターンアウト、開脚改善などを展開。
○著書 『骨盤が立てばあなたの開脚は変わる』
○フロアバレエクラスは新宿にて月一回開催
○インスタグラム ballet.ange